雑記や創作状況など。
【各話解説(ネタバレ有)】「偽王の骸」第三十一話

■第三十一話「***」(「黄昏の王子」)

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一連の事件に関する最終話です。

 

樹莉の執着に依って引き起こされた事件は、樹莉が執着を断ち切ることで終わらせられました。

荐夕と魁斗の戦いの途中、荐夕が少しだけ昔のように戻る部分がありますが、あれは荐夕に残されたわずかな優しさが発現したのだと思っています。かつて自分の意思で樹莉を襲えなかった(→前述の通り、あれは黒神の仕業です)のからわかるように、彼は根本的に優しいので悪にはなりきれないというイメージを表現しています。

 

樹莉が骸を燃やし、荐夕の魂があの世へ還ってゆくところでは、もとの良い兄に戻っています。結局荐夕を恐ろしい存在にしていたのは、樹莉の執心だったという流れです。

 

なお、「魁斗が倒れたら麗蘭と戦う」という荐夕の言葉に魁斗が焦ったのは、荐夕の言うとおりです。

単純に、魁斗が麗蘭を危険にさらしたくなかったのです。

三年前に魁斗が荐夕を殺してしまった際は、荐夕の「樹莉や豹貴も殺す」という言葉に激昂したからでした。少年時代から冷静な魁斗は、キレることが滅多に無かったのですが、兄弟姉妹のことになると頭に血が上ったわけです。

そんな魁斗の性質を知っている荐夕は、樹莉や豹貴(=家族)のこと以外でキレた魁斗を見て、成長したなあ…という感想を持ったのでしょう。

そして、そうやって魁斗を試しながら煽った荐夕は……やはり本当は、魁斗に終わらせてほしかったのかもしれませんね。この辺は読者の皆様に解釈をお任せしたいと思っています。

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【各話解説(ネタバレ有)】「偽王の骸」第三十話

■第三十話「呪縛」

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ついにラスボスが出てきました。

今回の事件のクライマックスに突入です。

前後半、2パートに分かれています。

 

〜鞍…魁斗vs黒神

■豹貴に憑依した荐夕にのりうつる黒神

もう、誰か誰だかわからなくなっていますが(笑)、単純に見れば、豹貴の身体を奪った黒神が魁斗と喋る場面です。

三年前、そして今回の事件について、前話の瑠璃とあわせて黒神が真相を語っています。

 

黒神のせいで歪んでしまった荐夕が原因で起きたのは、これらの出来事です。

黒神が荐夕を焚き付けてやらせたと言ってもいいでしょう。

・兄弟姉妹殺し

・魁斗と戦って死んだ

・狂乱した樹莉に語りかけて豹貴を呪わせ、浮那大妃を死に追いやらせた

前話のラストのセリフ(「おまえが此の世で最も憎んでいる者――とでも言えば、分かってくれるか」)の前まで、魁斗と会話していたのは、この荐夕です。

 

一方でこの二つは黒神本人がやったことです。

・三年前のあの夜、荐夕の身体を借りて樹莉を襲い、自分の力を移した

・荐夕が豹貴の身体で蘇った時、今度は豹貴の身体を借りて何度か樹莉と共寝をした

 

つまるところ、黒神がとんでもなくゲスいというわけですね。

前前話で魁斗が荐夕に「何で樹莉にそんなひどいことをするんだ」と問うた際、荐夕が「なんとなく」としか答えられなかったのは、自分の意思でやったことではなかったからなんですな。

 

■黒神が与えたもの、奪ったもの

前話で瑠璃がわかりやすく語っている通り、今回の黒神的戯れの図式はこうです。

 

○荐夕に与えたもの:自分の出生を知りたがっていたので、真誠鏡を見せてあげた(この鏡の存在を教えたのも黒神の模様)→闍梛で狂って野垂れ死ぬところを助けてやった→自分の生きてきた世界を壊したいという願望を叶えさせるため、(動きやすいように)人格を変えた

○荐夕から奪ったもの:皆から尊敬される崇高な魂、そして命そのもの(=魁斗に粛清された)

 

●樹莉に与えたもの:恋人としての荐夕と、願い(=荐夕を蘇らせる)を叶えるための力

●樹莉から奪ったもの:気高い王女の心と身体、荐夕からの愛情

 

なお作中詳しくは書いてませんが、樹莉は黒神の影響で相当ひどいことになり、本編で麗蘭に救われるまで、いろんな人を殺したり女の子として大事なものをいろいろ失っています。いつかムーンで書くかもしれませんが、エログロ満載になること間違いなしです。

つまり、黒神はとんでもなくゲスいというわけですね。←これが言いたかった。

 

このあたりの経緯を黒神から直接聞いた魁斗は、もうマジで怒り狂っています。が、なんとか冷静さを保っています。偉い。

 

■今後のネタバレめいたもの

ここに書かないと絶対に気づかれないと思うので、こっそり書いておきますが、

黒神が「魁斗(弟)と荐夕(兄)を戦わせた」「荐夕に大勢を殺させた」のは、理由があります。

ヒントは昔、黒神自身も似た経験をしている(「天帝(兄聖龍)と戦った」「大量殺戮(「天宮の戮」)を行った」)という点です。魁斗にも、あえて同じような体験をさせているのです。理由は秘密です(>_<)

 

 

後半…麗蘭と樹莉

麗蘭のおかげで正気に戻った樹莉が、豹貴を助けるために反魂を解くべく、荐夕の骸を隠してある霊廟へとやってきました。

術を解いて豹貴から荐夕を引き離すには、荐夕の骸を燃やせば良いだけなのですが、樹莉にとっては酷なこと。

樹莉は荐夕の死が受け入れられず、枯骸(ミイラ)さえも生前の荐夕の姿に見えていたのです。実の母親と兄(豹貴)を生け贄にするという邪悪な方法で、蘇らせた荐夕を、今度は自分の手でもう一度殺さねばならないというのは、彼女にとって他人には解せぬ程の悲しみを伴うのです。

 

麗蘭は樹莉の痛みを感じながら、樹莉から荐夕への執着を取り払おうとします。黒神の力からは既に助けられましたが、根本であるこの執心を手放させられなければ、真に樹莉を救えたことにはなりません。

 

とても難しいことのように思えますが、以前(「金色の螺旋」の頃)から麗蘭の活躍を見ていた樹莉は、自分の中に眠っていた勇気や正義の心を思い出し、邪念を断ち切ろうとします。そして、今回の話のラスト(麗蘭を送り出す)へと繋がってゆくのです。

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【各話解説(ネタバレ有)】「偽王の骸」第二十九話

■第二十九話「二人の巫女」

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永遠のライバル、麗蘭と瑠璃が再会する場面です。

二人の再会については、本当は本編第三部(偽王の続編)で書くつもりでいたのですが、少し早めとなりました。

偽王の骸も終盤に差し掛かっている今回のお話は、続編の序章的位置付けとも言えるでしょう。

 

■再会
阿宋山で別れて以来の再会場面は、十年以上前に書いたものがありまして、今回もそれをベースにしています。

恋愛方面に目覚めたばかりの麗蘭は、女としての経験値が高い瑠璃に以前にも増して劣等感を抱いています。瑠璃が色んな男を誘惑しまくってるとか、そのへんの事情を知ってるわけではないのですが、場数を踏んでるであろうことは何となく感じ取っているんですね。
本文中にある通り、以前とは異なり、自分も開光して神巫女としての力量では追いついているので気圧されてはいません。が、武力以外での面で引け目を感じている部分はありそうです。

なお昔の設定では、麗蘭と魁斗の仲がもっと進んでから会わせる予定でしたので、瑠璃に対する麗蘭の心境が少し違います。そのもう一歩進んだ段階の心情は、次の機会に描写しようと思います。

 

 

■麗蘭→瑠璃への望み
麗蘭は瑠璃と決別してからも、心のどこかではいつか分かり合えると思っています。あくまでも黒神のせいで、敵対しなければならないのだと。そこで罪悪感はないのかという質問をするのですが、瑠璃にこう答えられます。

 

「邪であれ悪であれ、構わぬわ。あの方のお望みとあらば、善悪の別になど何の拘りも無い」

 

ここのセリフで、それまでの瑠璃の態度(樹莉に起きた悲劇を微笑みながら語る)と相まって、麗蘭の希望が砕かれてしまいます。瑠璃はやはり、悪なのではないかと。

そしてこのセリフは、とても迷った一言でもありました。「私は(黒龍様のなさりようを)評価できる立場ではない」という主旨のセリフでも良かったのですが、黒神へ傾倒しているのがより表現できる方がいいと思い、採用したものを選びました。

この辺りについては、瑠璃が主役級となる続編で掘り下げていきたいと思っています。

 

 

 

この二十九話は、瑠璃→麗蘭の他、瑠璃→樹莉についても色々要素を隠しているのですが、今は言わずにおきます。金色や荒国での瑠璃と黒神のやりとり(案外数話しかない)にもヒントがあります。過去に書かれてきたこと、およびこの先の展開をお読みいただきこの二十九話に戻ってきてもらえれば、何か見えるものがあるかもしれません。

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【各話解説(ネタバレ有)】「偽王の骸」第二十六話

■第二十六話「重なる運命」

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ウルトラハイパー重要回です。

今回が、偽王最大の山場です。「金色の螺旋」の最大の見せ場は麗蘭の開光でしたが、本作の見せ場は麗蘭と魁斗がくっつくところ、でした。

ここまで長かった…今日の記事では、前作を書いていた時からずーっと言えなかったことを書いていきますね(一部はもう口滑らせてるかもしれませんが)。

 

●魁斗の役柄について

魁斗は十五年以上前からいるキャラですが、もともと創った目的が「麗蘭の恋人にするため」でした。髪が金髪なのも、(当時の自分が)絵的に麗蘭と並ばせて合うと思ったからですし、イケメンなのも高貴な身分(王子で半分神様)なのも強いのも、麗蘭と釣り合いを取らせるためです。

「金色の螺旋」で「麗蘭が魁斗と蘢のどっちとくっつくのだろう」「蘢とくっつかないかな」…と思ってくださった方がいらしたそうですが、私としては魁斗とくっつく以外の選択肢がありませんでした。すみません(/_;)

なお、小中学生のころ書いていたバージョンですと、魁斗が麗蘭に一目ぼれして、猛アタックを繰り返した結果、相思相愛になるという流れでしたが、そこは自然と変わっていきました。「金色の螺旋」「偽王の骸」では、どっちかというと麗蘭の方が先に惚れてたように見えましたよね? 作者としては、魁斗も結構初期から麗蘭のことは気にしてましたが、表には出してなかったというイメージです(というより、執筆の視点がほとんど麗蘭視点でしたしね)。

「金色の螺旋」で、四神の朱雀(紅燐)と魁斗は昔恋人同士だったという設定で出てきましたが、あれは比較的後から考えた設定です。別に恋人同士でなくても良かったのですが、なろう連載版の金色の2〜3章を執筆していた時に、魁斗と紅燐は何らかの因縁がある…という関係にしたくて、元恋人同士が一番手っ取り早いと思いそうしたのです(紅燐ファンの方ごめんなさい)。将来的には麗蘭とくっつけないといけないので、魁斗と紅燐の過去描写は最低限にとどめ、魁斗の方にももう未練はないという書き方をしています。結果としては、紅燐のキャラに深みが出ましたし、魁斗が黒神を憎む材料となったので、良かったと思いますけれども。

ちなみにもっと言うと、紅燐と魁斗を引き離すために(珠帝や青竜以外の)誰かの恣意が働いていたのですが、そこは超ネタバレになるので後にとっておきます…

それから、蘭麗の今後については…ごにょごにょごによ。

 

 

 

 

 

●麗蘭と魁斗は「運命の」恋人なのか?

真誠鏡で映像を見た魁斗は、母・薺明神が自分を産んだ理由は「薺明神の主君である天帝(聖龍)のために、麗蘭と組んで黒神を倒すため」と解釈しています。

ゆえに麗蘭との恋により運命的なものを感じ、恋愛関係に入るのに背中を押された形になっています。

…が、果たして魁斗のこの解釈は正しかったのでしょうか?という部分に謎が残るわけです…

このあたり、次の27話の冒頭ナレーション(というか地の文)と、本作の一番最後でラスボスがヒントを語っていると思いますので、気にしていただければ幸いです。

 

 

 

 

 

●麗蘭と魁斗の恋愛関係について

麗蘭と魁斗の関係は、助け合い補い合い守り合う関係です。

「金色の螺旋」で圧倒的強さを見せた魁斗が、本作で弱弱しいのは、ここを強調するためです。あえて舞台を魁斗の故郷にし、彼の秘められた過去やら弱みやらを前面に打ち出しているのは、麗蘭が魁斗を助ける場面を増やしたかったからです。

つまり「偽王の骸」の舞台設定やらストーリーやらすべてが、この二人をくっつけるためのものだったということですね←

荐夕と戦わざるを得なくなったり、紅燐に裏切られたりして、麗蘭たちと会うまでは一人で行動していた魁斗が、麗蘭との心の触れ合いを経てようやく新たな恋愛関係に入る覚悟をしたのです。本作の前半で、みんなにだんだん打ち解けてきた様子を描いたのも、彼の心境変化を表すため。自分の弱いところを散々見ておきながら、それでも自分を好いてくれる麗蘭の愛情にもグッときたのかと。

麗蘭は守られるだけの女の子ではないですし、「共に戦う」ことこそが愛情の発露だと表現している通り、並び立つ関係を望んでいます。肩を並べ、同じ敵(黒神)に立ち向かっていける存在だからこそ、魁斗のことが好きになったのです。

魁斗の方が武力的には強いのですが、前作で金竜を封じるのは麗蘭でないとだめだったり、黒の気に侵された紅燐や樹莉を助けるのは麗蘭でないとだめだったり(あの場に麗蘭がいなかったため、紅燐はああいう状態になってしまいました)、巫女としての力を要する場面では麗蘭が必要になります。そして黒神を倒せる(殺せる)のも、神巫女である麗蘭のみなので、魁斗だけでは戦えないという設定にしています。二人で一つ、的な関係です。オスカル様とアンドレ的な。

蘭麗→魁斗、蘢→蘭麗の片思いや、樹莉→荐夕の歪愛と、対比的に描いているのも一つの狙いです。

…魁斗はことあるごとに麗蘭を守りたいと思っているようですがね。

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【各話解説(ネタバレ有)】「偽王の骸」第二十四話

■第二十四話「純なる涙」

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確か10月くらいに書いていた話なのですが、書きながらすごーく気分が沈んでいった部分だったと記憶しています(/_;)

いくつか表現にこめた狙いがありますので、思いつくままに書きます。

 

●この話で樹莉がとる行動のきっかけは、21話「妄執」で瑠璃に投げかけられた言葉です。

瑠璃の言葉で、復活した荐夕(?)に愛されていないと自覚させられた樹莉は、「じゃあどうやったら愛してもらえるの?」と瑠璃に問い、瑠璃が「自分で答えを見付けろ」というのですが、その答えとなるのが今回の行動です。

「貴方の心に留めてもらうために、私は貴方のために犠牲になるわ」という心理です。

普通の心理状態なら、ここまで極端な行動を取れないと思うのですが、書かれている通り、樹莉は極限状態まで来てます。麗蘭の読み通りで、一連の悪事にはすべて罪悪感を持ちながらも自制できずにやらかしてしまった状況です。自分では「死ななきゃ止まらない」というところまで追いつめられていたのでしょう。

この行動が、のちのち瑠璃の選択にも影響してきますので、重要ポイントです。

 

●樹莉が黒い剣(正体は次回出てきますが、前作から読んでいる方はもうお分かりですね?)を呼び出した時、魁斗は彼女の行動をいち早く読みますが、かつて自分を想いすぎた余り命を投げ出した紅燐を見ていたからこそ、一目で察したのです。たぶん、樹莉の目に紅燐と通じるものがあったんだと思います。細かい表現ではありますが、そういう意図から魁斗に先に気付かせています。

 

●樹莉に「そなたと私は同じ」と言い切る麗蘭についてですが、確かに樹莉からすれば「貴女に私の何がわかるの?」という心境ですよね。

麗蘭のような恵まれた輝いてる女の子って、たまにとんでもない「知ったような口をきく」ことがありますよね。

本人からすれば、「自分も魁斗が好き、樹莉も荐夕が好き」という意味で同じと言っているだけであり、だからこそ純粋に救いたい気持ちでいっぱいなのですが、

実際には両想いと片想いですし、ここにくるまでに樹莉はどん底まで落ちているわけです。年齢はさほど変わりませんが、いろんな男と遊んで(そのたびに自分を傷つけて)男女関係のいろんな汚さを見てしまっている樹莉の気持ちなんて、初心な麗蘭には理解できるはずもないのです。

ゆえに樹莉ははじめ反発するのですが、麗蘭がなんの悪気もなくまっすぐな気持ちでそう言っていることもわかっている。そして、以前の自分と近いものを感じている。

だから「貴女みたいに素直でまっすぐな人は嫌いじゃない」と言っているのです。樹莉は狂いかけてますがやっぱり大人で、本当は気持ちの優しい女の子なのです。そういう部分を表したくて入れた表現でした。

 

●最後の方、麗蘭が思い出しかけた「記憶」について。前作で前世の記憶がよみがえるシーンがいくつかありましたが、これもその一つです。

ここででてきた「薄群青色の髪の美女」とその恋人が誰かは、シリーズ最大の秘密なので、最後まで秘密です(*´ω`*)

今作のラストで、ラスボスが重大なネタバレをするあたりででてくるかもしれませんので、

「瑠璃の言葉がきっかけで樹莉が自殺(未遂?)し、それをみた麗蘭が前世の記憶を思い出す」という流れだけ覚えておいていただけるとありがたいです。

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【各話解説(ネタバレ有)】「偽王の骸」第二十二話

■第二十二話「哀しき啓示」

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十九話以降、樹莉ちゃん関連でダークな話が続き、作者が書き疲れた&読者様が付いてこられなくなったらいやだな、という理由ではさんだ休息回です。

二十一話までは、聖安シリーズにしてはきつい話が続いてきてますからね…シリーズのカラーを濁したくなくて、友里を再登場させて軌道修正っぽい回にしたかったのです。

休息回ではあるのですが、蘭麗は予知夢によって失恋を予感し、切ない気分になるという、明るくはない話です。

 

久々に出た友里ですが、おぼえてらっしゃいますか?「金色の螺旋」九章七話で初登場した天才少女です。

友里は古参のキャラで、かなり以前からいるギャグ担当キャラです。麗蘭にあこがれていて忠実で、戦力としても頼りになる子です。前話までで鬱屈した流れを変えるにはいいかなと思って出してみましたが、穏やかな蘭麗との絡みだとそんなにテンションが上がっていませんね(笑)。早く麗蘭と会わせたいです。

 

冒頭の恋心を語る少女(?)の声ですが、これは特定の誰かの声というよりかは、今恋をしている麗蘭・蘭麗、そして樹莉の心の声を代弁したものをイメージしています。三人のだれにでもあてはまるし、もしかすると読者様にも共感してもらえる方がいらしたかも。

ここでは夢を見た蘭麗が、こんな気持ちになりましたよ〜という体でおいていますが、彼女だけの心情描写をしているのではないです。

 

蘭麗は時折予知夢を見る子で、「金色の螺旋」で母上が死ぬのを悪夢で予知しました。今回も、魁斗と麗蘭が結ばれる夢(結ばれる=えろい夢ではないです)を見たのですが、回避するのではなく受け入れようと自分に言い聞かせています。魁斗と麗蘭は同じ使命を帯びて生まれた運命の二人であり、自分は入り込む隙がないのだと悟ります。そして彼らが敵と戦うために、いつか二人でどこかへ去ってしまうところまで予知したのです。

運命だから仕方がないと、泣きながら受け入れたつもりの蘭麗ですが、いずれ本人たちを前にして、本当に受容できるのでしょうか…

 

実は、失恋を予知した蘭麗をある程度落とそうか悩んでいたのですが、樹莉に加えて蘭麗まで沈むと救いようがなくなってしまうのでやめました。その分、樹莉がとことん闇堕ちしてくれればいいなと思います←

 

そして蘢は、麗蘭の気持ちも蘭麗の気持ちも何となく察しています。蘭麗が魁斗のために悲しんでいるのに気付きながら、蘭麗を想うあまり探ることもできないでいます。蘭麗が好きすぎるあまり攻めることもできないでいる…彼もまた、不器用に優しい男なのです。

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「偽王の骸」をイラスト付で紹介してもらいました☆

いつもお世話になっている把多摩子さんの「どくしょかんそうぶんえ。」で、「偽王の骸」を紹介してもらいました〜!!なんと、樹莉ちゃんのイラスト付です!!

本編の19話以降のネタバレを激しく含みますので、リンク先とイラストは「続き」に掲載しますね(*ノωノ)

あと、イラストはやや肌色が多いので、背後に少し注意です(´・ω・`) 

 

どくしょかんそうぶんえ。」には、以前「金色の螺旋」も取り上げていただいております〜!→こちら

他にも素敵な小説が多摩子さんのイラストとともに紹介されておりますので、ぜひご覧になってみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【各話解説(ネタバレ有)】「偽王の骸」第二十一話

■第二十一話「妄執」

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ー莉と瑠璃、⇔鑞と謎の鳩、という2パターンに分かれていますが、書きたかったのは樹莉が病んだ経緯です。

 

まずは前半から。

解説するまでもなく、作中で語られているのですが、

樹莉は信頼しきっていた兄に裏切られて男女の関係になってしまい、ショックの余り頭がおかしくなってしまいます←これがベース。

根が真面目な樹莉は、「兄妹なのにこんな関係になっていいはずがない」→「兄妹じゃなくて恋人同士だからokなんだ」と強引に発想の転換を行います。

その後すぐに死別してしまい、寂しさの余り人肌を求めて性的にだらしなくなるのですが、王女なので誰にも咎められません。ものすごい美少女なので、誘惑にのった男性の方が罪悪感を抱いてしまうこともままあったそうな。

トラウマ的な初体験を迎えてしまうと男性恐怖症になってしまうケースがあると思いますが、樹莉の場合はその逆だったようですね。そういうのをイメージしていました。

基本はそういう感じですが、作中ではもっと病的なもの、色情症とか依存症とかを想起させる描写をしています。してもしてもし足りないとか、会話しててもそういう方向にばかり持っていきたがるとか(二十話参照)。本当はもっと露骨な表現をしたかったのですが、このシリーズで許されるであろうぎりぎりのところにとどめたつもりです。いつか別の作品で、えげつないのを描いてみたいです。

そして、樹莉がここまで重症化したのには真因があります。その真因については、この後の話に出てきますので、ここでは伏せておきますね。

…瑠璃が出てきた時点で気付いた方もいらっしゃるかと思いますが(笑)

なお、かつて樹莉が荐夕に抱いていた気持ちについては、この後の話でも回想などに織り込んでいます。

今後のポイントとしては、荐夕はなぜ樹莉に愛を偽ったのか、です。

 

瑠璃とからませたのは、上述した「真因」への伏線でもあり、

瑠璃自身の今後の物語にかかわる伏線でもあります。

12話の燈雅くんとのやり取りでもわかるように、瑠璃は想い人に振り向いてもらえず飢えているのです。

だからこそ、樹莉が飢えている原因もわかるわけで。瑠璃が樹莉に投げかけている言葉は、すべて自分に向けて言っているようなものです。

このあたりの台詞なんか正にそう。二つ目のなんて、金色の螺旋10章34話で珠帝に言われた言葉と通じるものがありますね。

 

「如何に激しく、如何に深く身体を繋げて肉の欲を満たしたとしても、其れだけで飢えは消えない。飢えて苦しいのは、おまえの想い人が真におまえを愛していないと気付いているからだ」

「おまえは恋人に乞われて母親を殺し、明日には異母兄まで殺そうとしている。だが知っているはずだ。彼の願いを全て叶えたとして、おまえが愛されることは無いであろう――可哀想に」

 

 

瑠璃が樹莉に飢餓状態を脱するヒントを与え、この後樹莉がある行動を取るのですが、

それがむちゃくちゃ重要な行動になります。

 

さて、後半パートについてです。

謎の鳩が出てきますが、「水浅葱色の鳩」でどの鳩か分かった方はすごいです。金色の螺旋からじっくり読んでくださっている方ですね。本当にありがとうございます。

鳩に乗り移って麗蘭を助けたのが誰なのかは、もう少し後で明かされます。

 

樹莉の受難について麗蘭が知る場面、こうみえて結構悩みつつ書きました。

純粋培養されて育った麗蘭にとって、近親相姦とか強姦とか、その手の話題ってタブーだと思うのですよ。

でもまあ、魁斗に惚れて少女から女性への転換期に来ているわけですので、多少は良いかなあと思って割り切りました。

真実を知らないと、この後樹莉を救えないですし。

全て知ったうえで「真因」に触れた時に、真の黒幕への嫌悪を広げるのです。

 

ここでの麗蘭に関するポイントは、堕ちに堕ちた樹莉を見捨てずに救おうとしている姿勢、です。

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【各話解説(ネタバレ有)】「偽王の骸」第十九話〜二十話

■第十九話「***」(「死霊の抱擁」)

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■第二十話「変貌」

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本作の転換点となるお話です。

 

樹莉が浮那大妃ではなく黒幕だったというのに、最初から気付いていらした読者さん、いらっしゃいましたよね?

麗蘭はまるっきり騙されてましたが、蘢や魁斗は何となく疑ってましたし、ミスリードしつつ端々にヒントを落としてはいたのです。

序章「冥闇情炎」でネクロフィリアっぽいことしてるのも、浮那と思わせて樹莉です。

 

樹莉が黒幕だというのは、私自身相当早い段階で考えていたのですが、ここまでえろい子にしようとは思っていませんでした。勢いにまかせて書いていたら、瑠璃たんもびっくりなえろ娘になっていたので、魁斗くんと一緒にドン引きしてました。

解説といっても、樹莉がこうなるに至った経緯は次の二十一話で書いていますので、今回は少しだけ。

 

樹莉が魁斗に語っているように、今回の騒動は樹莉が荐夕を蘇らせようとして仕組んだものでした。
大妃の死が引き金となり、豹貴の身体で荐夕が復活する、というものですが、
魁斗を憎んでいる樹莉は、魁斗への復讐も同時に行おうとします。
大妃を騙して進んで闍那宮の怪物に食べられるよう仕向け、麗蘭と魁斗を向かわせて倒させる。魁斗の抱く大妃への複雑な思いを知っている樹莉は、魁斗を苦しませるためこの方法をとります。
本文中、この時点では書いていませんが、他にも麗蘭にしか倒せない蛇を倒させ、魔王選びのために闍那の森を使わせないようにするという目的もあったと思われます。

 

二十話をお読みいただいてから、十六話に戻って大妃の台詞に着目してもらえれば、大妃が樹莉に騙されていたのだということが解ります。

 

十六話「魔性の王母」

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大妃はもともとすごくしたたかで、騙されるような人ではないのですが、樹莉や魁斗の言っている通り、荐夕が死んでから相当弱っていたので簡単に騙されました。

 

他の注目点としては、樹莉の発言がやたらえろい方面へ向かっているという部分でしょうか。

聖安シリーズでえろ要素を増やすのは抵抗があるのですが、物語の進行とキャラを描くために必要だったので、迷いつつ意識して入れました。

二十一話以降書きますが、ある原因により彼女の頭の中がそっち方面のことばかりになってしまっているので、そういう部分を表現しました。聞いてる魁斗も書いてる私自身もドン引きしつつ……です。

 

現時点で書けるのは、これくらいですかねえ。

次回、二十一話でもう少しいろいろと明らかになります。

 

 


 

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【各話解説(ネタバレ有)】「偽王の骸」第十二話

■第十二話「報復」

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作者も待ってた瑠璃たん回です。書いたのは大分前。

今作では黒神&瑠璃を極力登場させないというマイルールのもと書いているのですが、十話をこえて我慢できなくなり瑠璃たんを出しました。

結果、出してよかったと思える意味のある話にすることができました。前作からの読者の方は、タイトル「報復」にご注目いただければ幸いです。

 

〇燈雅の現在

珠帝の後を継いだ燈雅は、仮即位式を終えて皇帝陛下になっております。

もともと忙しい人だったのですが、さらに忙しい毎日を送っているようです。言及していませんが、右腕の丞相(紫暗)が有能なので、多少楽していると思います。

皇太子時代からの側室十二人に紅燐を迎え、十三人の奥さんのもとへローテーションで通う毎日。一ヶ月を30日とすると、単純計算で一人月2+4日くらい余ります。余った4日は一人の時間にあて、別の女の子をあさったりしています。今回の話では、その4日のうち1日を瑠璃たんと過ごしていることが判明していますね。

……日中忙しい割には夜も異常に元気なようです。

 

〇燈雅と瑠璃たんの関係

緑鷹様と充実した(疑似)カップル関係にあった瑠璃たんは、自分でその関係を壊したことにより、(心身共に)寂しい日々を送っていました。代わりになるような男を探しており、何となく緑鷹に似ているところのある燈雅に目を付けます。圭惺平原で初めて燈雅を誘惑したときはまさかの失敗に終わったのですが(「金色の螺旋」9章「誘惑」参照)、珠帝亡き後もめげずに誘惑していました。

頭のいい燈雅は瑠璃たんの危険性を一発で見抜き、最初はねのけたのですが、やがて考えが変わります。珠帝や緑鷹など、尊敬していた人々を破滅させた瑠璃たんに自分が勝てるのかどうか、試したくなったのです。決して誘いに屈したわけではないのです(たぶん)。

彼は瑠璃たんと黒神に(珠帝と緑鷹様を奪われたことに関し)恨みを持っていたので、なんとか仕返ししたいとも思っていました。瑠璃たんと寝るたびに瑠璃たんの秘密を暴いていき、心の底に秘めた孤独を見抜きます。誰と寝ても満たされることのない「飢え」とか「渇き」とか、そういうものです。

瑠璃たんは、緑鷹様が与えてくれた「愛」を燈雅にも求めますが、瑠璃たんを憎んでいる燈雅は愛してなんかやりません。瑠璃たんが美しいので最初は心が揺らぎそうになるのですが、彼も他にたくさん側室がいて一ヶ月に1度しか相手をしてやれない制約があるのと、根本に復讐心があるので耐え抜きます。そして、酷い一言(「私に身を差し出すことで、自ら壊して二度と手に出来なく為ったものを埋めているのではないですか」)を浴びせるのです。

これこそが、燈雅なりの瑠璃たんへの「報復」なのです。今後も身体だけの関係は続きます。燈雅くんからすれば、ほぼ都合のいい女状態ですな。

 

結局瑠璃たんは、珠帝の言葉通り、「自分を愛してくれる男を自分で食い殺さなければならない」可哀想な子なのですね。

 

ちなみにこの話、今後の「偽王」の物語の伏線になります。

「飢え」「渇き」がキーワードです。

 

〇燈雅→麗蘭

燈雅は麗蘭に興味を持っています。

忙しい時期に、何も聖安まで出向かなくてもいい(紫暗を派遣すれば済む話)のですが、麗蘭に会いたいがために自ら動きます。

ばっちり事件に巻き込まれている麗蘭と無事会えるかどうかは、まだ秘密です。

 

 

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