雑記や創作状況など。
【各話解説(ネタバレ有)】「凍える夢」第二十話〜第二十二話

【第二十話「誓言」】
冒頭の「また、お会いしましょう。次の世で」という誰か(=紗柄の前世の巫女が正解)の誓いと、紗柄が妖王に「貴様とは関わらない」と宣言している二つを表したサブタイトルです。

 

・冒頭の誰かの誓い
「偽王」を読んでくださってる方で、「三十二.償い【1】」の冒頭の文章を思い出してくださった方がもしいたら、神のように崇めます…(いらっしゃらないですよね)
これは紗柄の前世(正確には前世の前世)の巫女の心の声を表しています。
この記憶を、紗柄はだんだん思い出していくのです。自分はかつて、誰を守りたかったのか。

 

・妖王がやりたかったこと
おおむね、この回で紗柄が見抜いている通りです。
妖王はもともとは前・天帝の息子で神様だったのですが、継母(天帝の正妻)に嫌われて神格を奪われ、異形の姿にされて下界に落とされました。
人にも魔族にもなれないので、寂しすぎて自分と同じような存在を増やすために、いろんな人や魔族に子を産ませて「妖」という種族が生まれました。
それでも虚しさは消えなくて、人は人でも人とは違う「神巫女」たちに目を付けます。
紗柄や霞乃江の前世(500年前の、二人目の巫女)の頃から干渉し始め、紗柄と霞乃江の時には二人が幼いころから近付き、弄びます。
紗柄はまだ幼く準備もできていないのに開光させられて「鬼」になりかけますし、霞乃江も御覧の通りです。
そうやって、自分と同じような中途半端な存在を作り出し、仲間意識を持ちたかったんですね。

 

また、妖王は紗柄に自分を憎ませて戦うよう仕向けて、戦いそのものを楽しもうとしていた面もあります。
兄である天帝(聖龍)の意に背くことをして、気を引きたかった面もあります。この先のネタバレですが、妖王が今回やろうとしていることは、黒神の意にも反していますので、彼を怒らせようとしたという理由もあります。
兄二人の怒りを買い、鉄槌をくらうことになろうが、それならそれでよかったといいますか。かまってちゃんですね。

 

この回での妖王はなんだかイライラしていますが、それは雪のせいです。雪という存在が現れ、せっかく鬼にした紗柄が人に戻ってしまったので、興ざめしていたのです。
親兄弟を殺すよう仕向けたのが自分、というのを告げるのは、紗柄の目を雪から自分に向けさせるという点で、妖王にとっては最後の切り札でした。
この頃にはなんでもありで、霞乃江に手を貸して雪をさらったのにもかかわらず、「自分と戦って勝ったら雪を助けてやる」とまで言ってます。彼には信念も何も無いのです。ただ紗柄に構ってほしいだけ。

 

紗柄はそんな妖王の内面を見抜き、「私はおまえにかかわらない」と跳ね付けているのです。
幼いころからあれだけ自分を憎むよう仕向けたというのに、また無視されてしまいました。
「そうか」と言ってあっさり引いたとみせかけて、がまんならなくなった妖王は爆弾を投入します。霞乃江の「黒の気」を感じ始めて前世を思い出しつつあった紗柄に、「本当に守りたいのは誰か?」という言葉を投げかけます。
これをきっかけに、紗柄は前世の自分をほぼ完全に思い出してしまうのです。
ここから紗柄は、前世の誓いを守るか、雪を守るか、という選択で揺れ始めます。

 

 

 

【第二十一話「偽物」】
冒頭の文は、紗柄の深層心理です。

 

あと最後の霞乃江のセリフ「会いたかったぞ」は、瑠璃が琅華山で気絶している麗蘭と再会した時のセリフと同じなのですが、気付いた方いらっしゃいますかね?
もしいらしたら感謝しまくりです。

 

・雪のすごさ
妖王の部下にさらわれ、霞乃江の元まで連れてこられた雪。
男を誘惑することにかけては無双の霞乃江が、雪を引き入れようと惑わします。ところが雪には効果がないどころか、敵意を抱かれます。

 

本文中でも説明していますが、霞乃江の誘惑術は完全無欠ではありません。効果があるのは「酷く傷ついた」相手です。雪の場合、傷ついてはいるのですが、正義感や憎しみの方が強く、哀しみを上回っていた。だから屈しなかったのです。
霞乃江が氷姫と火澄の髑髏を見せつけたのも、雪を傷つけて精神ダメージを食らわせ、誘惑しようとした理由からです。火澄の例がある通り、哀しみ>憎しみなら憎しみの発端が自分であっても、自分の虜にすることができますし。

 

ですが、雪は怯むどころか怒りを強めました。雪は気弱に見えて、実は誰よりも気性が激しい面を内に秘めている。だから火澄や紗柄に逃げてと言われても逃げずにここまで来たし、地影の人柱となるに足る「王に伍する徳」を有すると見なされていました。
実は、雪はすごいんです。本作ラストでも、そのすごさがわかるエピソードを書いていたりします。
(あと、雪が童貞だからという理由もあります。女性の身体を知らないことが武器になったというか)

 

ちなみに、「金色の螺旋」で瑠璃が誘惑しようとしてできなかったのは青竜と燈雅でした(緑鷹は誘惑されてます)。雪の徳はあの二人と同レベル、もしくはそれ以上といっても過言ではありません。霞乃江の方が誘惑術に長けてますので。

 

・霞乃江の動機
このセリフに、集約されてたりします。

 

「此の王子が死ねば、あの女はどれ程嘆くだろうか。悲しみの余り気が狂れるだろうか。或いは今生を悲観し、凡て思い出すであろうか――わたしのように」

 

霞乃江は自分の人生を悲観しています。だから黒神を狂信的に求めてしまう。自分もそうなので、紗柄もそうなるだろうと思い込んでいます。
この部分が、ラストにかけて重要になってきます。

 

 

 

【第二十二話「心戦」】
冒頭の文、「荒国に蘭」の「第二章 一.初めての友」の冒頭を意識したのですが、似てる感じだ〜と気づかれた方いますか? これはいらっしゃらないですよね…

 

・霞乃江→紗柄の心理攻撃
「結局おまえは光龍なんだ」と。前世のしがらみからは逃れられないんだ、と。これは、この後の伏線でもあります。霞乃江が切り札を使うための準備なのです。
ただこの時点では、紗柄は全くといっていい程こたえていませんね。

 

・紗柄、昔の記憶に翻弄される。
重要なのがこの場面です。

 

――「彼の方」が、左様なことを望む訳が無い。
 思わず右手で額を押さえ、霞乃江から目を逸らした。錯綜する記憶に戸惑い、敵を前に迷いを隠せなく為っていた。

 

「彼の方」とは、黒神のことですね。
今作では黒神が封じられて不在ということもあって、紗柄が彼を毛嫌いしているシーンはないのですが、悪い奴だとは思っています。この世界の人々にとって、「黒神=悪」は絶対的な方程式だからです。
にも拘わらず、「左様な(酷い)ことを(黒神が)望む訳が無い」と言っています。これは、前世の記憶のなせる業に他なりません。
それで紗柄は戸惑っているのです。
 

| 「凍える夢」について | comments(0) |
【各話解説(ネタバレ有)】「凍える夢」第十九話

【第十九話「破綻」】

不穏なタイトルですが。

紗柄が雪に対して謎の違和感を覚え始め、それを感じ取った雪とのすれ違いが生じてゆく話です。

 

前半は、わりといいんです。少しだけ己の過去を明かした紗柄に、雪がかけた言葉は、紗柄が長年ずっと誰かに言ってもらいたい言葉でした。紗柄のままでいいんだよということ。親にもかけてもらえなかった言葉を、やっと雪がくれたのです。感無量です。

ただ、それも「私がどんな罪を犯したか知らないから言えるのだ」と素直に受け取れない。自己肯定感の低い紗柄には、雪が眩し過ぎて心を開けないんですな。

ちなみに、過去を語った紗柄ですが、親兄弟を手にかけたとはさすがに言えませんでした。そのあたり、彼女の傷の深さを物語ってます。

雪は雪で、紗柄が身構えてるのを見て、自分にはどうしようもない壁を、紗柄との間に感じてしまいます。

そして、その壁が崩れようもないのは、紗柄の記憶のせいでもあります。麗蘭もそうだったのですが、天陽に触れるとか、黒神や黒巫女の存在を感じた時など、ふとしたきっかけで前世や記憶が甦ります。霞乃江に近づくにつれて、前世のことを色々と思い出し始め、「私が昔から守りたかったのは、雪ではない」という本能レベルの考えから逃れられなくなります。本人も雪も、そんな事情は知る由もありません。

 

紗柄と雪は(とくに雪→紗柄)確かに惹かれあってはいますが、このままくっつくことは無いのでしょうか…?

| 「凍える夢」について | comments(0) |
「凍える夢」更新スケジュール

凍える夢

サブタイトル

更新(予定)日

1話「剣姫」

2話「異端」

3話「暗転」

4話「殉義」

5話「黒獣」

6話「白雪」

7話「妖狩」

8話「悪戯」

9話「雪解」

10話「守人【1】」

11話「守人【2】」

12話「滑落」

13話「覚悟」

14話「守護」

15話「宿業」

16話「劫火」

17話「渇仰」

18話「純愛」

19話「破綻」

20話「誓言」

21話「偽物」

22話「心戦」

23話「魔剣」

24話「半身【1】」

25話「半身【2】」

26話「言霊」

27話「迷霧」

28話「選択」

29話「恩寵」

30話「雪吹」

12/18(火)

12/25(火)

12/29(土)

12/30(日)

12/31(月)

1/2(水)

1/3(木)

1/4(金)

1/6(日)

1/8(火)

1/13(日)

1/15(火)

1/20(日)

1/22(火)

1/26(土)

1/27(日)

1/29(火)

2/3(日)

2/5(火)

2/9(土)

2/10(日)

2/10(日)

2/11(月)

2/11(月)

2/11(月)

2/12(火)

2/14(木)

2/16(土)

2/16(土)

2/17(日)

| 創作(聖安シリーズ)について | comments(0) |
【各話解説(ネタバレ有)】「凍える夢」第十八話

【第十八話「純愛」】

・晟凱の最期

王や重臣たち、氷姫や火澄と、地影の生贄になりそうな人をみんな殺し、紗柄や雪を追い出して、晟凱は用済みになりました。

そもそも晟凱を焚き付けて謀反を起こさせたのは、晟凱の野望であった王位継承を実現させかけて、寸前で殺すという、一番酷な「復讐」を遂げる目的もありました。やはり霞乃江は、自分を虐げてきた義父を心底憎んでいたのです。

 

十歳に満たないころから虐待されてきた霞乃江ですが、ある時から、同衾する度に黒の気を移し始めました。

金色や偽王では黒神がやってたやつですね。霞乃江にとっての得意技なんですが、晟凱に対しては丁度いい頃合いに死ぬよう調整してたみたいです。

ちなみにこの先出てきますが、炬に対してもこれをやってます。こちらは致死量ではないですが。

 

・晟凱の純愛

今回のサブタイトルには、晟凱と霞乃江のそれぞれの純愛の意味を込めてます。

まずは晟凱→霞乃江。晟凱は生粋のサディストで、気に入った美女を痛めつける性癖がありました。霞乃江も、最初はその犠牲者に過ぎなかったのですが、妖王に調教手解きされて、晟凱を誘惑してやがて心酔させてしまいました。

たくさん囲っていた女たちも手放して、霞乃江だけを愛妾のように扱っていました。途中で自分の実の娘ではないと気付いてますから、そこからは完全に恋人扱いです。

最後、霞乃江の正体を知り、霞乃江のせいで死んでいくときも、(晟凱を殺せて)嬉しげな彼女を見て、幸せな気分に浸っています。好きな人の幸せそうな姿を眺めながら死ねるなんて、最高に素敵ですよね、というわけです。

晟凱は、確かに霞乃江を愛していたのです。←ここポイント

 

・霞乃江の純愛

むろん、黒神への愛情です。

主を愛しているからこそ、晟凱に何をされても凛として誇り高くいられる。彼女の気高さはこの想いが作り出しています。

最後の「後は貴方をお迎えするだけ」ですが、俗世でやりたかったこと(氷姫への逆恨み→報復、晟凱への報復)をすべて終えたということを表しています。来るところまで来てしまった…という霞乃江の覚悟を示唆しています。

| 「凍える夢」について | comments(0) |
【各話解説(ネタバレ有)】「凍える夢」第十七話

【第十七話「渇仰」】

・霞乃江の迷い

霞乃江はもともと、黒神を復活させたら一身に寵愛を受けられると信じてました。

氷姫を殺して自分の力が強まるとともに、前世の記憶がより鮮明になると、黒神が「女性として」大切にしていたのは自分ではなかったことを思い出します。

唯一の拠り所であった黒神が、目覚めたら自分ではなく紗柄を求めるかもしれない、という恐れに翻弄されるようになります。

 

思いっきり本編のネタバレしてますが、黒神は紗柄(麗蘭)の前世の巫女と特別な仲だったようです。

金色や偽王からそれっぽい要素は出してましたので、通しで読んでくださってる方はほとんどお気づきかと思いますが。

このネタバレ要素こそが、凍える夢の後半での軸になってきます。

 

・妖王と霞乃江

弱った霞乃江に、余計なことを吹き込みに来る妖王。

黒神と紗柄を再会させないために、最後の生贄として紗柄を殺せとささやきます。

また、「炬はわたしのことを愛していません」という霞乃江に対し、「そうだったな」と答えているのですが、これが大事な伏線だったりします…悪意をもっての「そうだったな」です。

 

霞乃江を慰めるふりをしながら彼女の反応を楽しんでいる妖王ですが、彼女に貴方は優しいと言われて戸惑います。霞乃江自身、嫌味ではなくて本心から言っています。たとえ自分を弄ぶのが目的でも、妖王は自分に戦い方を教えてくれ、寂しいときは側にいてくれた。その意味で優しいと表しているのです。

 

・妖王が語る黒神

妖王もまた、黒神が「誰よりも優しい」と言っています。

千年前の黒神は、一体どんな奴だったのでしょうか。この先にも新たな描写が出てきます。

| 「凍える夢」について | comments(0) |
【各話解説(ネタバレ有)】「凍える夢」第十五話〜第十六話

【第十五話「宿業」】

 

・霞乃江(瑠璃)にかけられた呪い

 

 天地が逆さまに為っても己を愛さぬ男のために、

 己に愛をくれる男たちを喰い殺し続ける。

 

これが霞乃江の宿命なのですが…

この文章、どこかで見覚えのある方がいらっしゃいましたら泣いて喜びます。「金色の螺旋」十章で、珠玉が瑠璃に放った最後の言葉がこれなんですよ。

霞乃江はその美貌で男たちを惑わし、女たちから男を奪う。いろんな男と関係を持ち、愛されますが、黒神以外を愛することはできない。そういう星の下に生まれたのです。とはいえ本人次第で、愛し合える人を見つけられるのに、呪いにかかっているかのようにここから抜け出せない。

妖王が言葉巧みに誘導したせいで、晟凱の性的虐待すら「自分の魔性のせい」と信じ込んでしまいました。

「自分に近付いてくる男はみんな体目当て」と思い込んで心から愛されていると感じられないのです。ゆえにただ黒神だけが、自分を受け入れてくれると妄信するに至る。

……書いててかわいそうになってきた。

 

・妖王の手解き

霞乃江はもともと床上手でもビッチでもなかったのですが(むしろ苦痛でしかなかった)、妖王に調教手解きされてそっち方面に目覚めます。

エロの権化である妖王から直接叩き込まれたので、瑠璃たんより技術は上です。男を誘惑する術にかけては最強になり、火澄くんに至っては一目見ただけで骨抜きにしています。

この先もそういう描写が多いので、エッチ好きに見えると思いますが、実はそういうわけではないです(一方で瑠璃たんは素で好きです)。自分の心を守るために、好きだと思い込んでるだけで。

瑠璃とは異なり、霞乃江には剣で戦う力がありません。その代わりに強い男を操って戦わせます。そういう戦い方を教えてくれたという意味で、妖王には感謝しているようです。

妖王としては、異母兄の女である霞乃江を自分好みに染めていく愉しさがあったと思います。ほぼそれだけです。ゲスいな。。

 

この回は、全体的に妖王のセリフが気に入ってますが、とくに好きなのはこれです。

 

「男たちはおまえに平伏し懇願する。凡ゆる富を、享楽を授けて、おまえの愛を得ようとする」

「女たちはおまえの有する全てに羨望を抱き、愛を奪われ、おまえを憎みながら死ぬだろう」

 

 

【第十六話「劫火」】

 

・超重要回

霞乃江が生きる意味を語る場面。相当前から書いていた思い入れのあるシーンです。

重要なのを示したくて、冒頭にはメインタイトルと同じ言葉を配置しました。

今生では会ってもいない黒神に想いをよせ、(ほとんど妄想で)愛を語る場面なので、書きながら霞乃江たん頭やばいな、と思っていました。。

地影を使って王や重臣、氷姫、火澄を殺し、力が高まるとともに前世の記憶も断片的に思い出してきています。それでも、まだ黒神には会っていないんですよ。現実世界に失望し、どこまでも闇龍であろうとする。そんな霞乃江の中二病的一面を押し出しました。

 

・氷姫への仕打ち

氷姫を殺して首を切り取った霞乃江ですが、やたら姫に恨みを持っている様子。

霞乃江は晟凱の実の娘ではないので、本当の王族ではないとみなしています。本物の王女である氷姫が何不自由なく幸せに暮らしていることに、酷く嫉妬心を抱いています。

そのうえ火澄が好い男だったので、寝取って殺して現場を姫(の首)に見せつけます。

光龍である紗柄でさえ、この時はアウトオブ眼中なのに、とにかく姫が嫌いなんです。

その姫(の首)を相手に、はたから見ればちょっと異常で一方的な会話(というより黒神への告白)を繰り広げるのです。

 

・霞乃江の見ている黒神

 

「あの、光輝く微笑みを取り戻すためなら。あの、優しい御声を取り返すためなら。あの、慈愛に満ちた黒曜石の瞳に、今一度映されるためなら」

 

霞乃江はこう、黒神を語っていますが、本編を読んで復活後の彼を知っている方は、違和感があったんじゃないかと思います。

優しいとか慈愛とか、彼には無縁に見えますよね?

ここが伏線というか、重要ポイントです。

| 「凍える夢」について | comments(0) |
【各話解説(ネタバレ有)】「凍える夢」第十三話〜第十四話

【第十三話「覚悟」・第十四話「守護」】

 

・霞乃江の存在を認識した紗柄

実は同じ宮中でずっと暮らしていたので、紗柄と霞乃江はとても近くにいました。

霞乃江は紗柄の存在を知っていましたが、氷姫への嫉妬心の方が強くて、ほぼノーマーク。一方で紗柄は、霞乃江が気配を完全に消していた&闇龍を見つけたくなかったため、気付いてすらいませんでした。

今回の陰謀に闇龍が絡んでいると知り、しかも頼みの火澄まで捕まったと判明して(もう食べられてるのですが、霞乃江の罠で生死は明らかになってません)、紗柄の緊張感は高まります。望んではいませんが、光龍と闇龍の戦いになった瞬間、生死をかけた戦いになるのは紗柄にも本能めいたものでわかっています。雪の意志を何度も確かめ、引き返させようとします。

それでも雪は考え直さない。頑固ですが、そんな彼だからこそ紗柄も惹かれたんですな。何があっても守り抜こうと改めて誓います。

 

・紗柄と雪の関係

雪は同じ部屋で寝るのがつらいくらい、紗柄を女の子として意識しています。それなのに紗柄のこの仕打ち。依水は気付いてますね。二人の健全な関係は、前後を挟んでいる霞乃江サイドのアダルトな環境との対比でもあります。

ヘタレな雪も、がんばってはいるのですが、抱き寄せようとしたのを紗柄に拒絶されたり、報われません。文字数を割いている通り、紗柄→雪への想いは「安らぎ」「懐かしい」「愛おしい」です。なのに紗柄自身、なぜ雪を避けてしまうのかわかっていないのです。これはもう少し後のお話でも描写します。

このあたりから、二人のすれ違いが始まっているのですが、気付いていただけたでしょうか…

 

・紗柄の両親

十四話の最後に、いきなり回想を入れてみました。

紗柄の両親は何者かにつかまり、拷問され、死ぬよりつらい目に遭います。

紗柄は彼らに助けを求められた気がして、救うために斬ってしまうのです。これが、紗柄が開光するために必要な「犠牲」となります。

果たして誰の企みなのか。はっきり書くのはこの先のお話になりますが、妖王が「(犠牲とは何か)俺が教えてやろう」と言っていたのを思い出していただければ自明かと思われます…

 

| 「凍える夢」について | comments(0) |
【各話解説(ネタバレ有)】「凍える夢」第十話〜第十二話

【第十話・第十一話「守人」】


・珪楽の民

「金色の螺旋」読者様にはおなじみの、珪楽の民が出てきます。

「金色」の時代の巫覡たちは、珠帝の命で村を滅ぼされ、魅那と天馬を残して死んでしまっています。
この時代の頃は、まだたくさんいて、人界の様々なところに仲間を送って光龍を支援しています。

紗柄が祥岐に生まれたので、活動の中心地は祥岐です。

ちなみに気付いた方がいるかはわかりませんが、依水の髪色は萌黄色で、魅那と天馬と同じです。一族の血を濃く継いで、力が強い証という意味を持たせました。ネタバレですが、「金色」に出てくる友里もまた、同じ髪色だったりします……

 

・依水について
本作における導き手です。
もともと腕の立つ妖討伐士でしたが、妖王の戯れで同行していた仲間を皆殺しにされ、恋人も殺され、足まで失います。討伐士としては再起不能なので、楽人(神的な儀式などで演奏する人)として生計を立てながら、紗柄を見守っているのです。

 

作中、表現しきれなかった部分もありますが、妖王に神剣・天陽と地影を奪われたことも、仲間たちを喪ったことと同じくらいに悔いています。まだそこまで執筆していないので細かく決まっていませんが、本作ラストらへんでこの点もポイントになってくると思います。

 

なお、雪については、正直怖いと思っている部分もあります。紗柄の人生を変える程のやさしさ、純粋さが、あまりに高潔すぎて、畏怖の念を覚えているのです。

 

また、紗柄は依水に対して心から申し訳ないと思っています。妖王と対等に戦えるのは紗柄だけなのに、私情で宿を捨てて戦わず、依水たちの恨みを晴らすことも、珪楽の民としての使命(=紗柄をサポートして非天を倒す)も果たさせてやれずにいる。
紗柄に人生を捧げてくれている依水たちに答えてやれない罪悪感です。
しかし依水自身は、大切なものをすべて失い、紗柄も協力してくれないという現実に直面し、自分なりに納得させています。光龍が気高さを失わずに信念のまま行動するのなら、それを助けるのが自分たちの役割なのだと。


・嵌められる火澄くん
次話への繋ぎです。
謀反人を倒すため、魏州侯に接触しますが、彼もまた、霞乃江の毒牙に掛かっていました。
火澄は霞乃江のいる屋敷へとたった一人でおびき出されてしまいます。

 

 

【第十二話「滑落」】
前半部分の山場の一つです。

 

「憐れよな、氷姫。此の男、そなたの見ている前でわたしを抱いたぞ。わたしの胎で果てるうち、わたしへの恨みもそなたへの愛も、凡て忘れてしまったのだ」

 

このセリフは、ずっと前から出したかったものです。このセリフにあらわれている霞乃江の魔性こそが、彼女の一番恐ろしいところ。

 

あれほど氷姫を慕い、失った悲しみに暮れ、復讐を誓っていた火澄が、たったの一目で霞乃江に陥落させられます。

氷姫の仇として認識していながら、いともたやすく誘惑されて(性的に)食べられてしまいました。

作中あるように、凌辱することで復讐しようとしたのではなくて、本気で惚れてしまったんです。
そんな霞乃江の怖さを強調しようと思って書いたお話です。

 

火澄くん自体は、氷姫や紗柄が認めた男ですから、敵の美女に惑わされたり恋人を裏切ったりするような人じゃありません。
あくまで霞乃江が、誘惑術に長けているんです。

…なので、わたしとしては火澄くんがかわいそうでなりません。氷姫もかわいそうですが、彼も同じくらいかわいそうだと思います。

 

最後、炬も出てきてますね。
彼があんな風に火澄を殺したのは、何故なんでしょうか。そこがこの先にかかわるさりげないポイントになります。

 

ところでこの十二話、本当はもう少し性描写を書き込んでいたのですが、結構削りました。この部分のために作品全体を18禁にしようかと思ったのですが、削ることで踏みとどまりました。

| 「凍える夢」について | comments(0) |
【各話解説(ネタバレ有)】「凍える夢」第七話〜第九話

【第七話「妖狩」・第八話「悪戯」・第九話「雪解」】

・紗柄の子供時代のお話
光龍という、輝ける存在として生まれた紗柄ですが、生まれた家が悪かった。神人ばかりの集落だったせいで、畏怖されると同時に嫉妬の対象となったのです。

 

また、稀にみる傑物であった麗蘭の母・恵帝や師・風友とは違い、紗柄を育てたのは凡人の両親。両親も優れた討伐士で、戦いの面においては紗柄も英才教育を施されてめちゃくちゃ強くなれたのですが、精神面で鍛えられることがなかった。

 

両親は紗柄が特異な存在であるがゆえに、親として接せられなかった。紗柄は兄弟たちとの扱いの違いに苦しみ、常に寂しがっていたのですが、完璧さを求められてそんな感情を表に出せずにいたのです。

 

そうした点で、なんだかんだで恵まれた麗蘭との違いを意識して書きました。

 

・妖王との出会いと罠
紗柄は初めて会った時から、彼を敵として認識していたわけですが。寂寥と劣等感につけこまれて気を許してしまいます。
彼の言う通りに「天陽」を手にしてしまったがために、この後恐ろしい悲劇に巻き込まれてしまいます。
演出上、紗柄の回想は神剣を取ったところで止まっています。その直ぐ後が一番ひどい記憶なのですが、何が起きたのかは「金色の螺旋」をお読みいただいた方はご存知でしょう。紗柄は自分の両親兄弟を殺して「開光」し、妖王に「人鬼」と呼ばれる人間の敵になってしまうのです。

 

この事件の真相は、少し後に書いていますので、もうしばしお待ちくださいまし。

 

・雪と氷姫との出会い
「人鬼」になって、身を守るために人を殺しながら転々としていた時期。紗柄にも運命の出会いがあります。
わずかな時間で氷姫の高潔さと雪の純粋さに魅了され、誰とも交われなかった頑なさを解いたのです。
何度も言いますが、氷姫、麗蘭っぽくないですか?麗蘭がああいう性格なのは、前世で氷姫を心底尊敬していたから……というのもあるかもですね。

 

とにもかくにも、紗柄はこうして姉弟に救われたのです。

| 「凍える夢」について | comments(0) |
河口湖&諏訪大社に行ってきました!

温泉に行きたいと言われたので、諏訪大社とセットならいいよとokを出し、行ってきました!

 

■河口湖・富士山

昨年10月に行ったばかりでしたが、まだ雪化粧してない時だったので、今回行けてよかったです。

天気良好でしたが山頂に雲がかかってたのが残念でした。

IMG_1638.jpgIMG_1643.jpgIMG_1645.jpgIMG_1651.jpgIMG_1657.jpg

 

■氷瀑

宿の側にあったので。

IMG_1673.jpgIMG_1674.jpgIMG_1677.jpgIMG_1696.jpgIMG_1697.jpg

 

■諏訪大社

ずっと参拝したかったのでうれしいです。

パワスポ感半端ない。

IMG_1702.jpgIMG_1706.jpgIMG_1712.jpgIMG_1713.jpgIMG_1716.jpgIMG_1721.jpgIMG_1724.jpgIMG_1726.jpgIMG_1729.jpgIMG_1730.jpgIMG_1731.jpgIMG_1732.jpgIMG_1734.jpg

 

諏訪大社でいただいたお守り。

翡翠&黒曜石ですよ!!妖王&黒いのがセットになってるとかテンション上がりまくったのでつい。

大事にします。守ってもらいます。

 

 

 

| その他旅行(国内) | comments(0) |