雑記や創作状況など。
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【各話解説(ネタバレ有)】「凍える夢」第十五話〜第十六話

【第十五話「宿業」】

 

・霞乃江(瑠璃)にかけられた呪い

 

 天地が逆さまに為っても己を愛さぬ男のために、

 己に愛をくれる男たちを喰い殺し続ける。

 

これが霞乃江の宿命なのですが…

この文章、どこかで見覚えのある方がいらっしゃいましたら泣いて喜びます。「金色の螺旋」十章で、珠玉が瑠璃に放った最後の言葉がこれなんですよ。

霞乃江はその美貌で男たちを惑わし、女たちから男を奪う。いろんな男と関係を持ち、愛されますが、黒神以外を愛することはできない。そういう星の下に生まれたのです。とはいえ本人次第で、愛し合える人を見つけられるのに、呪いにかかっているかのようにここから抜け出せない。

妖王が言葉巧みに誘導したせいで、晟凱の性的虐待すら「自分の魔性のせい」と信じ込んでしまいました。

「自分に近付いてくる男はみんな体目当て」と思い込んで心から愛されていると感じられないのです。ゆえにただ黒神だけが、自分を受け入れてくれると妄信するに至る。

……書いててかわいそうになってきた。

 

・妖王の手解き

霞乃江はもともと床上手でもビッチでもなかったのですが(むしろ苦痛でしかなかった)、妖王に調教手解きされてそっち方面に目覚めます。

エロの権化である妖王から直接叩き込まれたので、瑠璃たんより技術は上です。男を誘惑する術にかけては最強になり、火澄くんに至っては一目見ただけで骨抜きにしています。

この先もそういう描写が多いので、エッチ好きに見えると思いますが、実はそういうわけではないです(一方で瑠璃たんは素で好きです)。自分の心を守るために、好きだと思い込んでるだけで。

瑠璃とは異なり、霞乃江には剣で戦う力がありません。その代わりに強い男を操って戦わせます。そういう戦い方を教えてくれたという意味で、妖王には感謝しているようです。

妖王としては、異母兄の女である霞乃江を自分好みに染めていく愉しさがあったと思います。ほぼそれだけです。ゲスいな。。

 

この回は、全体的に妖王のセリフが気に入ってますが、とくに好きなのはこれです。

 

「男たちはおまえに平伏し懇願する。凡ゆる富を、享楽を授けて、おまえの愛を得ようとする」

「女たちはおまえの有する全てに羨望を抱き、愛を奪われ、おまえを憎みながら死ぬだろう」

 

 

【第十六話「劫火」】

 

・超重要回

霞乃江が生きる意味を語る場面。相当前から書いていた思い入れのあるシーンです。

重要なのを示したくて、冒頭にはメインタイトルと同じ言葉を配置しました。

今生では会ってもいない黒神に想いをよせ、(ほとんど妄想で)愛を語る場面なので、書きながら霞乃江たん頭やばいな、と思っていました。。

地影を使って王や重臣、氷姫、火澄を殺し、力が高まるとともに前世の記憶も断片的に思い出してきています。それでも、まだ黒神には会っていないんですよ。現実世界に失望し、どこまでも闇龍であろうとする。そんな霞乃江の中二病的一面を押し出しました。

 

・氷姫への仕打ち

氷姫を殺して首を切り取った霞乃江ですが、やたら姫に恨みを持っている様子。

霞乃江は晟凱の実の娘ではないので、本当の王族ではないとみなしています。本物の王女である氷姫が何不自由なく幸せに暮らしていることに、酷く嫉妬心を抱いています。

そのうえ火澄が好い男だったので、寝取って殺して現場を姫(の首)に見せつけます。

光龍である紗柄でさえ、この時はアウトオブ眼中なのに、とにかく姫が嫌いなんです。

その姫(の首)を相手に、はたから見ればちょっと異常で一方的な会話(というより黒神への告白)を繰り広げるのです。

 

・霞乃江の見ている黒神

 

「あの、光輝く微笑みを取り戻すためなら。あの、優しい御声を取り返すためなら。あの、慈愛に満ちた黒曜石の瞳に、今一度映されるためなら」

 

霞乃江はこう、黒神を語っていますが、本編を読んで復活後の彼を知っている方は、違和感があったんじゃないかと思います。

優しいとか慈愛とか、彼には無縁に見えますよね?

ここが伏線というか、重要ポイントです。

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【各話解説(ネタバレ有)】「凍える夢」第十三話〜第十四話

【第十三話「覚悟」・第十四話「守護」】

 

・霞乃江の存在を認識した紗柄

実は同じ宮中でずっと暮らしていたので、紗柄と霞乃江はとても近くにいました。

霞乃江は紗柄の存在を知っていましたが、氷姫への嫉妬心の方が強くて、ほぼノーマーク。一方で紗柄は、霞乃江が気配を完全に消していた&闇龍を見つけたくなかったため、気付いてすらいませんでした。

今回の陰謀に闇龍が絡んでいると知り、しかも頼みの火澄まで捕まったと判明して(もう食べられてるのですが、霞乃江の罠で生死は明らかになってません)、紗柄の緊張感は高まります。望んではいませんが、光龍と闇龍の戦いになった瞬間、生死をかけた戦いになるのは紗柄にも本能めいたものでわかっています。雪の意志を何度も確かめ、引き返させようとします。

それでも雪は考え直さない。頑固ですが、そんな彼だからこそ紗柄も惹かれたんですな。何があっても守り抜こうと改めて誓います。

 

・紗柄と雪の関係

雪は同じ部屋で寝るのがつらいくらい、紗柄を女の子として意識しています。それなのに紗柄のこの仕打ち。依水は気付いてますね。二人の健全な関係は、前後を挟んでいる霞乃江サイドのアダルトな環境との対比でもあります。

ヘタレな雪も、がんばってはいるのですが、抱き寄せようとしたのを紗柄に拒絶されたり、報われません。文字数を割いている通り、紗柄→雪への想いは「安らぎ」「懐かしい」「愛おしい」です。なのに紗柄自身、なぜ雪を避けてしまうのかわかっていないのです。これはもう少し後のお話でも描写します。

このあたりから、二人のすれ違いが始まっているのですが、気付いていただけたでしょうか…

 

・紗柄の両親

十四話の最後に、いきなり回想を入れてみました。

紗柄の両親は何者かにつかまり、拷問され、死ぬよりつらい目に遭います。

紗柄は彼らに助けを求められた気がして、救うために斬ってしまうのです。これが、紗柄が開光するために必要な「犠牲」となります。

果たして誰の企みなのか。はっきり書くのはこの先のお話になりますが、妖王が「(犠牲とは何か)俺が教えてやろう」と言っていたのを思い出していただければ自明かと思われます…

 

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【各話解説(ネタバレ有)】「凍える夢」第十話〜第十二話

【第十話・第十一話「守人」】


・珪楽の民

「金色の螺旋」読者様にはおなじみの、珪楽の民が出てきます。

「金色」の時代の巫覡たちは、珠帝の命で村を滅ぼされ、魅那と天馬を残して死んでしまっています。
この時代の頃は、まだたくさんいて、人界の様々なところに仲間を送って光龍を支援しています。

紗柄が祥岐に生まれたので、活動の中心地は祥岐です。

ちなみに気付いた方がいるかはわかりませんが、依水の髪色は萌黄色で、魅那と天馬と同じです。一族の血を濃く継いで、力が強い証という意味を持たせました。ネタバレですが、「金色」に出てくる友里もまた、同じ髪色だったりします……

 

・依水について
本作における導き手です。
もともと腕の立つ妖討伐士でしたが、妖王の戯れで同行していた仲間を皆殺しにされ、恋人も殺され、足まで失います。討伐士としては再起不能なので、楽人(神的な儀式などで演奏する人)として生計を立てながら、紗柄を見守っているのです。

 

作中、表現しきれなかった部分もありますが、妖王に神剣・天陽と地影を奪われたことも、仲間たちを喪ったことと同じくらいに悔いています。まだそこまで執筆していないので細かく決まっていませんが、本作ラストらへんでこの点もポイントになってくると思います。

 

なお、雪については、正直怖いと思っている部分もあります。紗柄の人生を変える程のやさしさ、純粋さが、あまりに高潔すぎて、畏怖の念を覚えているのです。

 

また、紗柄は依水に対して心から申し訳ないと思っています。妖王と対等に戦えるのは紗柄だけなのに、私情で宿を捨てて戦わず、依水たちの恨みを晴らすことも、珪楽の民としての使命(=紗柄をサポートして非天を倒す)も果たさせてやれずにいる。
紗柄に人生を捧げてくれている依水たちに答えてやれない罪悪感です。
しかし依水自身は、大切なものをすべて失い、紗柄も協力してくれないという現実に直面し、自分なりに納得させています。光龍が気高さを失わずに信念のまま行動するのなら、それを助けるのが自分たちの役割なのだと。


・嵌められる火澄くん
次話への繋ぎです。
謀反人を倒すため、魏州侯に接触しますが、彼もまた、霞乃江の毒牙に掛かっていました。
火澄は霞乃江のいる屋敷へとたった一人でおびき出されてしまいます。

 

 

【第十二話「滑落」】
前半部分の山場の一つです。

 

「憐れよな、氷姫。此の男、そなたの見ている前でわたしを抱いたぞ。わたしの胎で果てるうち、わたしへの恨みもそなたへの愛も、凡て忘れてしまったのだ」

 

このセリフは、ずっと前から出したかったものです。このセリフにあらわれている霞乃江の魔性こそが、彼女の一番恐ろしいところ。

 

あれほど氷姫を慕い、失った悲しみに暮れ、復讐を誓っていた火澄が、たったの一目で霞乃江に陥落させられます。

氷姫の仇として認識していながら、いともたやすく誘惑されて(性的に)食べられてしまいました。

作中あるように、凌辱することで復讐しようとしたのではなくて、本気で惚れてしまったんです。
そんな霞乃江の怖さを強調しようと思って書いたお話です。

 

火澄くん自体は、氷姫や紗柄が認めた男ですから、敵の美女に惑わされたり恋人を裏切ったりするような人じゃありません。
あくまで霞乃江が、誘惑術に長けているんです。

…なので、わたしとしては火澄くんがかわいそうでなりません。氷姫もかわいそうですが、彼も同じくらいかわいそうだと思います。

 

最後、炬も出てきてますね。
彼があんな風に火澄を殺したのは、何故なんでしょうか。そこがこの先にかかわるさりげないポイントになります。

 

ところでこの十二話、本当はもう少し性描写を書き込んでいたのですが、結構削りました。この部分のために作品全体を18禁にしようかと思ったのですが、削ることで踏みとどまりました。

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【各話解説(ネタバレ有)】「凍える夢」第七話〜第九話

【第七話「妖狩」・第八話「悪戯」・第九話「雪解」】

・紗柄の子供時代のお話
光龍という、輝ける存在として生まれた紗柄ですが、生まれた家が悪かった。神人ばかりの集落だったせいで、畏怖されると同時に嫉妬の対象となったのです。

 

また、稀にみる傑物であった麗蘭の母・恵帝や師・風友とは違い、紗柄を育てたのは凡人の両親。両親も優れた討伐士で、戦いの面においては紗柄も英才教育を施されてめちゃくちゃ強くなれたのですが、精神面で鍛えられることがなかった。

 

両親は紗柄が特異な存在であるがゆえに、親として接せられなかった。紗柄は兄弟たちとの扱いの違いに苦しみ、常に寂しがっていたのですが、完璧さを求められてそんな感情を表に出せずにいたのです。

 

そうした点で、なんだかんだで恵まれた麗蘭との違いを意識して書きました。

 

・妖王との出会いと罠
紗柄は初めて会った時から、彼を敵として認識していたわけですが。寂寥と劣等感につけこまれて気を許してしまいます。
彼の言う通りに「天陽」を手にしてしまったがために、この後恐ろしい悲劇に巻き込まれてしまいます。
演出上、紗柄の回想は神剣を取ったところで止まっています。その直ぐ後が一番ひどい記憶なのですが、何が起きたのかは「金色の螺旋」をお読みいただいた方はご存知でしょう。紗柄は自分の両親兄弟を殺して「開光」し、妖王に「人鬼」と呼ばれる人間の敵になってしまうのです。

 

この事件の真相は、少し後に書いていますので、もうしばしお待ちくださいまし。

 

・雪と氷姫との出会い
「人鬼」になって、身を守るために人を殺しながら転々としていた時期。紗柄にも運命の出会いがあります。
わずかな時間で氷姫の高潔さと雪の純粋さに魅了され、誰とも交われなかった頑なさを解いたのです。
何度も言いますが、氷姫、麗蘭っぽくないですか?麗蘭がああいう性格なのは、前世で氷姫を心底尊敬していたから……というのもあるかもですね。

 

とにもかくにも、紗柄はこうして姉弟に救われたのです。

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河口湖&諏訪大社に行ってきました!

温泉に行きたいと言われたので、諏訪大社とセットならいいよとokを出し、行ってきました!

 

■河口湖・富士山

昨年10月に行ったばかりでしたが、まだ雪化粧してない時だったので、今回行けてよかったです。

天気良好でしたが山頂に雲がかかってたのが残念でした。

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■氷瀑

宿の側にあったので。

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■諏訪大社

ずっと参拝したかったのでうれしいです。

パワスポ感半端ない。

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諏訪大社でいただいたお守り。

翡翠&黒曜石ですよ!!妖王&黒いのがセットになってるとかテンション上がりまくったのでつい。

大事にします。守ってもらいます。

 

 

 

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【各話解説(ネタバレ有)】「凍える夢」第三話〜第六話

【第三話「暗転」】

名君のもと、戦もなく平和な国だった祥岐で、突然血生臭い悲劇が起きました。

四人の王子のうち雪だけが生き残り、王宮にいる王も危険という状況で、氷姫が下した判断は「恋人と逃げる」ではなく「恋人と弟を逃がして自分は父王を守りに行く」でした。

婚約者の火澄とのやり取りで、氷姫は自分が死ぬかもしれないと覚悟しています。敵の手に掛からずとも、王を助けられなければ殉死する気でいたのです。

この回で書きたかったのは、そんな氷姫の忠義と使命感、いかに素晴らしい姫であったか、でした。

また、氷姫と火澄の静かながら燃えるような関係もテーマの一つです。別れ際の短いシーンで、契りを交わす前の、恋人としては初々しい二人の悲恋が書ければなあと意識しました。この二人は立場上、婚姻するまで遠慮がありますけれども、本当は早くベタベタしたいのです。互いに敬愛から男女の愛へと変わっていた時期なのです。そういう葛藤も胸に秘めていますが、結局叶わぬ願いとなります。

 

【第四話「殉義」】

重視したのは容赦のなさ、読者様の度肝を抜くことです。麗蘭を彷彿とさせる氷姫が、敵の手であっけ無く惨殺されてしまう様を、重厚ながらも淡々と描きました。

霞乃江がいかな気持ちで姫を殺めたのか、物語が進むにつれて明かしていくスタイルを取っています。後々、ぜひ、この場面を思い返してもらえればうれしいです。

 

気に入っている部分

・腰まで届く濡れ烏の髪、艶なる袿姿うちきすがたは傾城傾国。長い睫毛に囲われたうずたかい眼は、虚ろなる夢幻の紫水晶。此の世のものとは思えぬ、霞の如き女であった。

・妙案が閃き、女は破顔する表情を袖で隠す。此の女には、いびつで邪な筋書きを描いては、天女さながらの優しい笑みを作る悪癖が有った。

 

 

【第五話「黒獣」】

瑠璃の前世、霞乃江のお披露目回として書いたお話です。義父・晟凱との関係や、彼が謀反を起こすに至った経緯を説明しています。

霞乃江も瑠璃と同じく、どんな男でも落とす力を持っていますが、霞乃江は瑠璃以上にその技に長けています。物語が進むにつれ、そこも比較してみてもらえればと思います。

最後の文より、霞乃江の求めるものはやっぱりあのお方なんだな……とわかるでしょう。

 

【第六話「白雪」】

命からがら逃げた雪が、紗柄と再会するまでのお話。

雪がどんな男か、また紗柄と雪の関係も分かるように書いてます。紗柄の従者らしからぬ態度を見ても、火澄や部下たちは慣れたもので何も言いません。みんな紗柄に一目置いているのと、紗柄と雪がとても長く一緒にいるので、あまり違和感がないのでしょう。紗柄が光龍であるのは知る人ぞ知る事実で、王族と一部の高官、火澄くらい。ゆえに光龍だからといってもてはやされることはあまりありませんが、雪への忠義と実力を十分認められているらしいです。

追手をみんな殺してしまう紗柄を、雪がとがめる場面がありますが、これは伏線というか後まで引っ張ります。

 

 

 

 

 

 

 

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