一定期間更新がないため広告を表示しています
一定期間更新がないため広告を表示しています
五日物語 3つの王国と3人の女(2015)
(Il racconto dei racconti)
★★★★☆
劇場に観に行きました。
とにかく映像が美しい!風景も出演者も衣装も、上演時間中目の保養でした。
夫に愛されてたのに、子を望むあまりその夫を犠牲にして子を産んだ女
若さと美貌を望み、妹を捨ててまでつかみ取った老女
おとぎ話のような美しい伴侶を夢見ながら、鬼に嫁がされてしまった少女
女の性をテーマにした作品ということで、現代の自分たちにも刺さる内容でした。
救いのきざしが見えたかと思えばことごとく絶望に突き落とされる展開、たまらないですね。
印象に残ったシーンはネタバレになりますので、「続き」から書きますね。
■第七話「傀儡の罠」
http://ncode.syosetu.com/n2388dp/9/
今回は重要な回です。
これまで麗蘭に対し魁斗がどんな思いを持っているか、はっきりと明示してこなかったのですが、今回は一歩踏み込んで書いてみました。
〇麗蘭vs魁斗
昔、「金色の螺旋」に続く第二部として、麗蘭が黒神に操られて蘭麗・魁斗・蘢と戦うという話(副題は確か「散りゆく蘭、輝く蘭
」)を書いたことがあるのですが、
今それをやると金色から続く設定上いろいろ問題がありますので、今回こういう形で取り入れてみました。
昔書いたものは麗蘭がすでに女帝に即位しており、作中黒神や妖王の次に強いという設定(今は魁斗の方が強い)でして、麗蘭が第二部のラスボス、蘭麗が主人公的位置づけになっていました。
これを書いた当時は作者がまだ中学生だったのでよこしまな発想はなかったのですが、今こういう設定(黒神と麗蘭が手を組む)にするとどうもエロい方面しか思い浮かばない←ので、ボツにしました。
魁斗は紅燐に続いて二度も好きな女の子と戦わなければならず、ちょっとかわいそうです。
〇魁斗→麗蘭
ようやく、魁斗が麗蘭に惚れているという面をはっきり出すことができました。今までも金色で小出しにはしてたのですが、ここまでひっぱってきていました。
一つ、たぶんここで言わないと皆さんお気づきにならないと思われる点を申しますと、
魁斗は麗蘭にちゃんと性的魅力を感じています。
麗蘭は作中、瑠璃と並び最大の美少女という設定ですが、瑠璃とは対照的に「神々しすぎて男が欲望を抱かない」という特徴があります。顔もスタイルもいいのですが、畏れ多すぎてあれが反応しないんです(露骨な言い方ですが)。
ちなみに金色で緑鷹が麗蘭を見て、「俺の女にしてやる」発言をしておりますが、あれは蘢くんを煽るために戯れで言ったに過ぎません。彼の好みではないんでしょうな。瑠璃と仲良くしてたあの時だからなおさら。
でも魁斗だけは、麗蘭を女の子として見ているのです。
……という点を踏まえて、偽麗蘭が魁斗を夜這いする場面を書いたのですが、さすがにいくら神聖な麗蘭でも、美少女であることには変わりないので、これだけ密着されたら魁斗じゃなくても興奮するんじゃ…と後になって思いました。。
〇「魂封術」について
魂を切り出して人形に移す、という術でしたが、この「人の魂をどうにかする」、という術が「偽王の骸」でのキーになってきます。
この後も、似たような術がいくつか出てきます。
■第四話「白銀の王姫」
http://ncode.syosetu.com/n2388dp/6/
魁斗の故郷、魔国を訪れた麗蘭たち。
国境の海岸から魔国の領土を望むシーンは、昨年北海道の知床に行った際、対岸の国後島を見た経験から書いてみました。
その後樹莉が現れて海を割るシーンは、言うまでもなく旧約聖書の一場面を元にしております。中高生の頃、魁斗の過去小説を書いた際には、魁斗が城へ続く海の上の土道を歩くシーンがあったのですが、それをダイナミックにしました。
今回登場した樹莉は、今作の超重要人物です。登場場面では魁斗の妹らしく美しく、生まれてこの方魔界から出たことがないお姫様という神秘的なイメージを前面に出してみました。
彼女も作者が中学生の頃に作った古参キャラで、語りたいことも山ほどあるのですが、いろいろあるので最後までとっておくことにします。
魔国の王宮、摩伽羅宮は、イギリスのボディアム城をモデルに書きました。
魔族は聖安人や茗人と違って欧米系の顔をしていて、建物や服装は西欧風です。カタカナを使わずに西欧風の建築物を描写するのがとても大変です。。
この第四話以降、しばらく魔界でのお話が続いていきます。
■第二話「再び集いし者たち」
麗蘭、蘭麗、魁斗、蘢が勢ぞろい。ほとんど金色からの読者様のための回です。ここでは下記の要素を入れました。
・蘭麗が大分打ち解けてきたけどまだ麗蘭と壁がある
・魁斗がより馴染んできた
・麗蘭→魁斗
・蘢くんが蘭麗にだけ恭しい
・麗蘭の公主としてのお仕事内容
一話に引き続き、導入編です。1話で見せた強い麗蘭とは対称的な一面(魁斗にデレる)を見せるよう、意識しました。
三公六卿など、聖安の官位の説明など出ていますが、茗は三公九卿だったり、微妙な違いが出るようにしています。
■第三話「友情の盃」
魁斗と蘢が酒を飲みながら話すシーン。前作で、聖地珪楽のあたりで「帰国したら酒飲もう」と約束していたのが、ようやく実現しました。
魁斗はいつも真面目で頭が良すぎる蘢から面白い話を聞き出そうとしており、蘢は魁斗から蘭麗への気持ちを探ろうとしています。
蘢の聞き方がうまいので、魁斗は蘢が蘭麗を気にしているのに終始気付きません。そして魁斗もガードが固く、蘭麗のことをどう思っているのか、蘢に明かしません。
この時点で魁斗が本当はどう思っているのかは、この先のお話のネタバレになりますので伏せておくことにしますね。
作者としては、この三話は書いていてとても楽しい回でした。読者の皆様には結局魁斗の気持ちがわからず、もやもやされたかもしれませんが…