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【第二十八話「選択」】
結構怒涛の展開で、何が起きたかわからない方もいたかもしれません。
紗柄は地影を手放し、雪を守ると決めました。霞乃江は素でびっくりしています。紗柄は黒神と会いたいために、雪を手に掛けると本気で思っていたのです。
それは、霞乃江が紗柄と自分は同じだと思っていたから。
霞乃江は今の生に絶望していて、自分の人生を切り開くには黒神に会うしかないと思い込んでいました。
紗柄は、つらいことがたくさんありましたが、雪や氷姫のおかげで今の生に希望を見出していました。
この差が歴然で、紗柄は黒神に再会しなければならないという、前世の記憶を思い出していながら、雪を選びます。
紗柄が雪を選ぶのは客観的にみて当然だと思うのですが、その当然が、霞乃江には理解不能なのです。
しかし、紗柄が言った「あの方は、こんなことを望まない」というセリフにはすぐ同意しました。
黒神がどんな男だったかを思い出しているがゆえに、妖王にすすめられるがままにやっている残虐行為は、黒神の意図に沿わないものとわかっている。わかっていても止められなかったのです。何としてでも会いたかったから。
雪が目覚めた後、死んだはずの炬が実は生きていて、再び紗柄を狙います。
炬は愛する霞乃江の幸せのために、どうしても紗柄を殺したかった。そのためだけに執念で生きていたのです。
不意打ちで反応が遅れた紗柄は、手放した剣を呼び戻して受け太刀する時間はないと判断。炬の剣を避けず、自分を貫かせて炬の動きを封じ、天陽で炬を刺します。
黒の力で生きながらえていた炬にとどめを刺すには、紗柄が自分の力で浄化するしかありません。そこで大部分の力を失い、自分の治癒に回せなくなります。
息を引き取る際、紗柄は雪を選んでよかったと安堵して旅立ちます。
一方霞乃江の方は、最後に奇跡が起きて、炬の声帯が復活して彼の真意を聞くことができます。
実際、炬は霞乃江に対して相当愛情表現していたはず(というか、奴隷なのでなんでも言いなりですし)ですが、霞乃江は炬に愛されていると信じませんでした。
霞乃江もつらいことがありすぎて、誰も好きになってくれないと思い込んでいましたし、自分で愛されないように仕向けていた部分もありました。炬に愛されてしまっては、奴隷と割り切ることができず、使命を果たす妨げになりそうで。
完全にネタバレですが、霞乃江は根っこはいい子なのです。霞乃江の前世(流羅)は典型的な聖女そのものでしたし。
最後に炬の声を聴いて、感動する間も絶望する間もなく、ほぼ精神崩壊した雪に殺されてしまいます。
【第二十九話「恩寵」】
わたしが、この話を書き進めるにあたって、モチベーションとなっていた回です。
死んだ霞乃江があの世に行く前に、黒神が会いに来てくれます。
封印されているのにどうやって会いに来たのかは、次回の解説で語ります。
書いてある通りなのであまり多くは語りませんが、ここでの黒神が、真の黒神です。
金色の螺旋や偽王の骸に出ている黒神とは違います。
なぜ別人のようなのかは、まだ秘密です。
生まれ変わったら、いつも側にいるという約束を果たし、黒神は瑠璃といつも一緒にいるのです。