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▼麗蘭が魁斗と一緒に金竜と戦うシーンを描いてもらいました!
長いですが該当シーンの抜粋おば。
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「麗蘭!」
恐ろしい竜の声を掻き消して、直ぐ傍で魁斗の声が聞こえた。
「奴の声に耳を貸すな。おまえの心を挫き、力を削ごうとしているんだ。俺の声を聞いていろ」
「か……魁斗」
魁斗は術を行っている麗蘭の直ぐ後ろに膝立ちし、傷付いた彼女の手を両手で包むようにして、自分も天陽を握った。
「……良く聞け。おまえは此のまま術を続けて、奴を抑えていてくれ。俺は其の隙に、奴を封じる」
「な……」
彼の声には迷いが無かった。麗蘭が反対する前に、強い語気で言い放つ。
「あの光鎖が壊れてしまえば、奴の動きを止めることは難しく為る。其の前に俺が封じる」
術が成功しなければ、麗蘭は金竜を斬る積もりでいた。しかし、予想外に力を消耗させられてしまった今、実際に戦えるかどうかは分からない。術を破られた途端、倒れて動けなく為るかもしれない。其れでも、魁斗の提案を呑むわけにはいかなかった。
「駄目だ……魁斗。おまえが代償を払う……必要など無い」
麗蘭は息を切らして苦しげに目を伏せながら、魁斗を止めようとする。彼女を落ち着かせるため、彼は何ともなさそうな顔をして、笑みさえ浮かべてみせる。
「心配するな。俺が何かを失うとしても一時的なことだ。いずれおまえが開光して、金竜を本当に倒すまで辛抱すれば良い。其れだけの話だ」
魁斗がそう言った時、麗蘭は気付いた。自身を捨てるなどという辛く悲しい決心を、彼が容易く口にしたことを。
――何故、そう平気な顔で言える?
考えても、麗蘭には分からなかった。分かりようもなかった。彼女は、魁斗という青年のことを未だ何も解せていないのだと、またも思い知らされた。
――おまえは私の心に触れ、私を知ろうとしてくれた。だが、私は……此のままおまえを行かせれば……
右手で剣を握って封術を持続させたまま、麗蘭は魁斗の腕を左手で捕まえた。彼の双眸を真っ直ぐに見て、熱を帯びた手できつく掴んでいた。
「行かせぬ。絶対に行かせぬぞ」
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金色の螺旋の山場の一つです。
とても気に入ってます。麗蘭は魁斗に支えられて恐怖に打ち勝とうとしますが、
同時に魁斗のことを何も知らないと気づき、衝撃を受けます。
ひと山乗り越え、魁斗と想いを通じ合わせた後、
神剣を受け継ぎ真の神巫女になる覚悟をする、という流れです。
魁斗が簡単に自分を犠牲にすると申し出た理由は、続編「偽王の骸」への伏線です。
大事な人を手に掛けた罪悪感が根本にある彼は、無意識に、半ば投げやりになっているのです。
金竜と戦う場面、執筆当時とても苦労して書いた記憶があります…
非常に達成感のある部分でした。
こちらの挿絵、麗蘭の顔もかわいくて好きなのですが、
魁斗くんがイケメン過ぎて初めて見たとき仰け反りました…(*ノωノ)
掲載箇所は下記のとおりです。
*小説家になろう「金色の螺旋」第九章14話
*pixiv「豊代さや氏作品一覧」