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近況報告&新作チラ見せ

更新できてないので参上しました(>_<)

いつも見に来てくださる方、ありがとうございます。

 

■「金色の螺旋」同人誌制作中

5/6文フリ出店を目指し、必死に推敲してます。印刷会社もほぼ決めて、あとは作るのみ。

告知サイトも作りました。→こちら

動画は古いのを埋め込んでますが、新作動画も準備中です。近々差し替えます。

なお、印刷数はごく少数の予定です。

どうしてもほしい!という菩薩の様な方がいらっしゃいましたら、ツイッターやweb拍手からご相談ください。

再版予定は今のところなしです。

 

■新作チラ見せ

前世編の一話(序章ではなく)の初稿を一部掲載します。

推敲前の下書きです。

現在9話執筆中。27,000程度。連載はまだまだ先です。

 

 

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 氷雪舞い降りて、銀の帯翻り、翻し。
 剣花散り消え、忽ちにして閃き走る。

 

  
 姫御前(ひめごぜ)と戦巫女が、剣を取り舞っていた。打っては跳ね返し、引き寄せては押し合う。其の清々しい様、見守る者を容易く魅了し、流るる風を止める。
 瑞々しき黒髪を結い上げ、真白い袴を穿いた姫宮は、氷花(ひょうか)。王族軍人として王師の少将を務める、音に聞こえた祥岐(しょうき)国の麗しの剣姫。
 焦がれ香の髪を高く纏め、常磐緑の袴を付けた巫女は、紗柄(さえ)。此の時代に降されし光の巫女、世にも美しき光龍の化身。
 仕合ではなく、稽古の類い。力比べではなく戯れの類い。千の妖異を斬り裂いて来たと云われる紗柄は、姫にとって臣下であり武の師であり、友でもある。
 此処は、氷姫(きよひめ)の小さな修練場。王宮・碧佳(へきか)宮の内部に、祥岐王が娘のために作らせた場所で、天井や床、柱は磨いた白石で拵えられている。
 踊る彼女らに見惚れるのは、親王の雪(ゆき)。祥岐王の三番目の王子であり、氷姫の弟にあたる。珍しい純白の髪に透ける白肌を持ち、勇ましい姉らとは対照的なか弱さを漂わせていた。
 何方からともなく舞うのを止め、互いに剣を下ろす。紗柄が石床に跪き頭を垂れると、姫御前は清爽なる笑みを零した。
「わたしは息一つ切れていない。手加減などしてくれるな、紗柄」
「剣の姫に、左様な無礼はいたしませぬ」
 実のところ、紗柄が主相手に手心を加えていたか否かは、剣術はからきしの雪には判らない。当の氷姫は諦め顔と為り、巫女に立ち上がるよう目配せした。
「偶には雪の相手もしてやっておくれ。紗柄が相手なら身が入ろう」
 雪は幾度も頷いた。主人に言われれば、紗柄も従わざるを得ないと思ったのだ。ところが紗柄は、彼を一瞥して難無く言ってのけた。
「王子の玉肌に傷でも付けてしまっては、王宮中の女に恨まれてしまいます」
「またそんなこと言って。面倒なだけなんでしょう」
 悔しげな雪の抗議など、紗柄は決して聞き入れない。人並みの護身術を身に付けるだけでも、彼はもはや、紗柄に縋るしか無いというのに。
 其処らの臣下に師事するには、雪は歳を重ね過ぎた。成人した十八の男子が、剣に触れたことすら無いなどと、王子でなくとも恥にしか為らない。
 情けないところまで来てしまったのも、元を辿れば生来の病弱さゆえに武術を習う機会を逸してしまった所為。紗柄が期待された役割をのらりくらりとかわし続けた所為である。
「そう言うな。第三王子が剣も振れぬとあれば、何かと体面が悪い。身を守ることも出来ぬではないか」
 姫御前に窘められようと、紗柄にとっては譲れぬ一事らしい。
「雪王子の御身は、私がお守りすれば良いことかと。私が怠慢に為らねば、ご自身で剣を取る機会など有りますまい」
 七年前、紗柄に親王を守る使命を渡したのは、他ならぬ氷姫である。こう返されてはぐうの音も出ない。
 姫と雪が妖に襲われ、妖気を追って来た紗柄に救われた。其の際命令というより乞うて雪の側に置いた経緯も有った。
 王女、氷姫とて人の子。天帝を尊崇する彼女には、天より降りた光龍を、無理やり従わせる気など起きなかった――たとえ紗柄本人が、己が巫女だと認めたがらずとも。
「時に、氷姫。聖安に妖が出ると聞き、討ちに参りたく暇をいただきたいのですが」
 姉の助け舟も虚しく、何時も通りさっさと話を摺り替えられてしまい、雪は落胆した。
「構わぬが、直ぐにか」
 姫にやや渋って訊き返され、紗柄が頷いた。
「何か、気掛かりがお有りなのですか」
「御史府に調べさせている。思い過ごしかもしれぬゆえ、改めて話そう」
 王族直下の監察方、御史府が出て来たがために、紗柄にも思い当たる節は有った。されど宮廷の内情には必要以上に立ち入らぬようにしているので、確信は無い。
 要らぬ心配を掛けさせたくないのか、氷姫は結局首を縦に振った。
「聖安の民が苦しんでいよう。早く行ってやりなさい」
 稀有なる徳心を授かりし彼の姫は、偉大なる天の恵みは人界凡てに注がれるべきと考えていた。光龍が祥岐に留まってくれているのを、身に余る幸運だと感謝していた。左様な姫宮だからこそ、紗柄も仕えるに値すると見定めたのだ。

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