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【各話解説(ネタバレ有)】「偽王の骸」第三十話

■第三十話「呪縛」

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ついにラスボスが出てきました。

今回の事件のクライマックスに突入です。

前後半、2パートに分かれています。

 

〜鞍…魁斗vs黒神

■豹貴に憑依した荐夕にのりうつる黒神

もう、誰か誰だかわからなくなっていますが(笑)、単純に見れば、豹貴の身体を奪った黒神が魁斗と喋る場面です。

三年前、そして今回の事件について、前話の瑠璃とあわせて黒神が真相を語っています。

 

黒神のせいで歪んでしまった荐夕が原因で起きたのは、これらの出来事です。

黒神が荐夕を焚き付けてやらせたと言ってもいいでしょう。

・兄弟姉妹殺し

・魁斗と戦って死んだ

・狂乱した樹莉に語りかけて豹貴を呪わせ、浮那大妃を死に追いやらせた

前話のラストのセリフ(「おまえが此の世で最も憎んでいる者――とでも言えば、分かってくれるか」)の前まで、魁斗と会話していたのは、この荐夕です。

 

一方でこの二つは黒神本人がやったことです。

・三年前のあの夜、荐夕の身体を借りて樹莉を襲い、自分の力を移した

・荐夕が豹貴の身体で蘇った時、今度は豹貴の身体を借りて何度か樹莉と共寝をした

 

つまるところ、黒神がとんでもなくゲスいというわけですね。

前前話で魁斗が荐夕に「何で樹莉にそんなひどいことをするんだ」と問うた際、荐夕が「なんとなく」としか答えられなかったのは、自分の意思でやったことではなかったからなんですな。

 

■黒神が与えたもの、奪ったもの

前話で瑠璃がわかりやすく語っている通り、今回の黒神的戯れの図式はこうです。

 

○荐夕に与えたもの:自分の出生を知りたがっていたので、真誠鏡を見せてあげた(この鏡の存在を教えたのも黒神の模様)→闍梛で狂って野垂れ死ぬところを助けてやった→自分の生きてきた世界を壊したいという願望を叶えさせるため、(動きやすいように)人格を変えた

○荐夕から奪ったもの:皆から尊敬される崇高な魂、そして命そのもの(=魁斗に粛清された)

 

●樹莉に与えたもの:恋人としての荐夕と、願い(=荐夕を蘇らせる)を叶えるための力

●樹莉から奪ったもの:気高い王女の心と身体、荐夕からの愛情

 

なお作中詳しくは書いてませんが、樹莉は黒神の影響で相当ひどいことになり、本編で麗蘭に救われるまで、いろんな人を殺したり女の子として大事なものをいろいろ失っています。いつかムーンで書くかもしれませんが、エログロ満載になること間違いなしです。

つまり、黒神はとんでもなくゲスいというわけですね。←これが言いたかった。

 

このあたりの経緯を黒神から直接聞いた魁斗は、もうマジで怒り狂っています。が、なんとか冷静さを保っています。偉い。

 

■今後のネタバレめいたもの

ここに書かないと絶対に気づかれないと思うので、こっそり書いておきますが、

黒神が「魁斗(弟)と荐夕(兄)を戦わせた」「荐夕に大勢を殺させた」のは、理由があります。

ヒントは昔、黒神自身も似た経験をしている(「天帝(兄聖龍)と戦った」「大量殺戮(「天宮の戮」)を行った」)という点です。魁斗にも、あえて同じような体験をさせているのです。理由は秘密です(>_<)

 

 

後半…麗蘭と樹莉

麗蘭のおかげで正気に戻った樹莉が、豹貴を助けるために反魂を解くべく、荐夕の骸を隠してある霊廟へとやってきました。

術を解いて豹貴から荐夕を引き離すには、荐夕の骸を燃やせば良いだけなのですが、樹莉にとっては酷なこと。

樹莉は荐夕の死が受け入れられず、枯骸(ミイラ)さえも生前の荐夕の姿に見えていたのです。実の母親と兄(豹貴)を生け贄にするという邪悪な方法で、蘇らせた荐夕を、今度は自分の手でもう一度殺さねばならないというのは、彼女にとって他人には解せぬ程の悲しみを伴うのです。

 

麗蘭は樹莉の痛みを感じながら、樹莉から荐夕への執着を取り払おうとします。黒神の力からは既に助けられましたが、根本であるこの執心を手放させられなければ、真に樹莉を救えたことにはなりません。

 

とても難しいことのように思えますが、以前(「金色の螺旋」の頃)から麗蘭の活躍を見ていた樹莉は、自分の中に眠っていた勇気や正義の心を思い出し、邪念を断ち切ろうとします。そして、今回の話のラスト(麗蘭を送り出す)へと繋がってゆくのです。

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