雑記や創作状況など。
<< 【映画】五日物語 3つの王国と3人の女(2015)を見ました | main | 【各話解説(ネタバレ有)】「偽王の骸」第十二話 >>
【各話解説(ネタバレ有)】「偽王の骸」第十話

■第十話「会いたい人」

http://ncode.syosetu.com/n2388dp/12/

 

重要な回です。

今後の物語を理解していただくのに必要な「闍梛宮の試練」について、魁斗がルール説明を行っているのと、魁斗が麗蘭に対して抱いている複雑な思いについて言及しているためです。

 

〇麗蘭と魁斗の再会

暫く舞台となる闍梛の森は、麗蘭にとってはかなり不利となる場所です。神力が使えないとなると、彼女の実力が半分くらい出せなくなってしまうからです。

ここに来る前はやる気に満ち溢れていたのですが、来てみると思った以上の恐怖を覚えます。そんな中、心の底で会いたいと思っていた魁斗が現れてくれたため、喜びひとしおです。

一方魁斗は、偽物麗蘭と対峙しひどい目に会っているので、ちょっと疑うと同時に若干の気まずさを感じています(傀儡の術を解く際にほとんど下着姿の彼女を見てしまっている等のため)。麗蘭は魁斗がここにきた理由を詳細に知りたがっていましたが、魁斗は深く語らず話を逸らしてしまいました。

年上らしく、男らしく、何かと麗蘭の行動を諫めたりしてきた魁斗ですが、ここでも危険を冒させまいと国に帰れと言います。自分なりに考えて行動しているつもりの麗蘭も、珍しく反発し、ちょっとした言い争いが起こります。喧嘩するほど仲が良いというか、あくまで二人は対等の立場なのだと示したいという意図があります。麗蘭は魁斗が好きですが、言いなりになるのではなく、自分の主張を通したい時は通すのです。互いに理解し合い、分かり合える関係というのが、彼女が無意識に求める理想なのです。

また魁斗は、前作8〜9章で麗蘭が神剣を継承しようとして鬱モードになり、励まして立たせたときのことを思い出します。覚えておられる方もいらっしゃるでしょうが、あの時のことに、魁斗は多少なりとも負い目を感じています。その後蘢にも語っていますけれども、魁斗は自分の目的(=黒神を滅ぼす)ために何が何でも麗蘭を戦わせねばならない立場にあります。自分の目的を遂げるために、光龍の使命と普通の女の子の間で揺れる麗蘭を説得して無理に剣を取らせたのではないか――という疑念があるからこそ、彼女の決めたことはできる限り実現させてやろうという責任を感じているのです。この言い合いにおける麗蘭の主張「蘭麗を帰らせたから大丈夫」はかなり乱暴で反論の余地有りまくりなのにもかかわらず、魁斗があっさり引いたのは、そういう理由からです。

麗蘭と魁斗の二人きりの場面は、今後数話に渡って書いていきます。彼らの心情がどう揺れ動いていくのか、ご覧いただければと思います。

 

ちなみに、サブタイトルの「会いたい人」は、前作で麗蘭が魁斗への思いを自覚し始める十章29話「特別な人」という回のものに合わせています。

 

〇魔王決めの試練について

下記のルールが語られます。今後の物語を追うのに重要になります。

・魔王と正妻(浮那大妃)の息子の中で、選ばれた者が闍梛の森に入り、続いて地下宮に入り、生きて(正気で)戻った者が魔王となる。

・森には候補が一人ずつ入る。

・森では魔力が使えず、腕っぷしの強さだけが問われる。本来魔王の直系は妖に襲われないが、試練中だけは襲われるので、武術に長けていなければ捕食される。

・地下宮の試練の実態は謎。確かなのは、ここで多くの者が正気を失い森でのたれ死ぬ。

・試練の最中、挑戦者の状態は蝋燭の火で把握できる。森に居る時は赤、地下宮に入ると青になり、死ぬか正気を失う(=心の死)と火が消える。

| 創作(聖安シリーズ)について | comments(0) |