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【各話解説(ネタバレ有)】「凍える夢」第十話〜第十二話

【第十話・第十一話「守人」】


・珪楽の民

「金色の螺旋」読者様にはおなじみの、珪楽の民が出てきます。

「金色」の時代の巫覡たちは、珠帝の命で村を滅ぼされ、魅那と天馬を残して死んでしまっています。
この時代の頃は、まだたくさんいて、人界の様々なところに仲間を送って光龍を支援しています。

紗柄が祥岐に生まれたので、活動の中心地は祥岐です。

ちなみに気付いた方がいるかはわかりませんが、依水の髪色は萌黄色で、魅那と天馬と同じです。一族の血を濃く継いで、力が強い証という意味を持たせました。ネタバレですが、「金色」に出てくる友里もまた、同じ髪色だったりします……

 

・依水について
本作における導き手です。
もともと腕の立つ妖討伐士でしたが、妖王の戯れで同行していた仲間を皆殺しにされ、恋人も殺され、足まで失います。討伐士としては再起不能なので、楽人(神的な儀式などで演奏する人)として生計を立てながら、紗柄を見守っているのです。

 

作中、表現しきれなかった部分もありますが、妖王に神剣・天陽と地影を奪われたことも、仲間たちを喪ったことと同じくらいに悔いています。まだそこまで執筆していないので細かく決まっていませんが、本作ラストらへんでこの点もポイントになってくると思います。

 

なお、雪については、正直怖いと思っている部分もあります。紗柄の人生を変える程のやさしさ、純粋さが、あまりに高潔すぎて、畏怖の念を覚えているのです。

 

また、紗柄は依水に対して心から申し訳ないと思っています。妖王と対等に戦えるのは紗柄だけなのに、私情で宿を捨てて戦わず、依水たちの恨みを晴らすことも、珪楽の民としての使命(=紗柄をサポートして非天を倒す)も果たさせてやれずにいる。
紗柄に人生を捧げてくれている依水たちに答えてやれない罪悪感です。
しかし依水自身は、大切なものをすべて失い、紗柄も協力してくれないという現実に直面し、自分なりに納得させています。光龍が気高さを失わずに信念のまま行動するのなら、それを助けるのが自分たちの役割なのだと。


・嵌められる火澄くん
次話への繋ぎです。
謀反人を倒すため、魏州侯に接触しますが、彼もまた、霞乃江の毒牙に掛かっていました。
火澄は霞乃江のいる屋敷へとたった一人でおびき出されてしまいます。

 

 

【第十二話「滑落」】
前半部分の山場の一つです。

 

「憐れよな、氷姫。此の男、そなたの見ている前でわたしを抱いたぞ。わたしの胎で果てるうち、わたしへの恨みもそなたへの愛も、凡て忘れてしまったのだ」

 

このセリフは、ずっと前から出したかったものです。このセリフにあらわれている霞乃江の魔性こそが、彼女の一番恐ろしいところ。

 

あれほど氷姫を慕い、失った悲しみに暮れ、復讐を誓っていた火澄が、たったの一目で霞乃江に陥落させられます。

氷姫の仇として認識していながら、いともたやすく誘惑されて(性的に)食べられてしまいました。

作中あるように、凌辱することで復讐しようとしたのではなくて、本気で惚れてしまったんです。
そんな霞乃江の怖さを強調しようと思って書いたお話です。

 

火澄くん自体は、氷姫や紗柄が認めた男ですから、敵の美女に惑わされたり恋人を裏切ったりするような人じゃありません。
あくまで霞乃江が、誘惑術に長けているんです。

…なので、わたしとしては火澄くんがかわいそうでなりません。氷姫もかわいそうですが、彼も同じくらいかわいそうだと思います。

 

最後、炬も出てきてますね。
彼があんな風に火澄を殺したのは、何故なんでしょうか。そこがこの先にかかわるさりげないポイントになります。

 

ところでこの十二話、本当はもう少し性描写を書き込んでいたのですが、結構削りました。この部分のために作品全体を18禁にしようかと思ったのですが、削ることで踏みとどまりました。

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